振動測定のやり方とは?基礎知識や手順を分かりやすく解説

振動測定は、機械設備や構造物の状態を把握し、トラブルを未然に防ぐために欠かせない技術です。モーターやポンプなどの回転機械では、わずかな振動の変化が故障や劣化の兆候として現れることがあります。建物や地面の振動では、周辺環境や安全性への影響評価が求められます。しかし、振動測定と一口に言っても、目的や対象によって測定方法や評価基準は異なります。

当記事では、振動測定の基礎知識や、変位・速度・加速度といった指標の考え方、測定対象、使用機器、具体的な測定手順、データの分析・評価方法を解説します。振動計測を正しく理解し、設備保全や環境管理にお役立てください。

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1. 振動測定とは

振動測定とは、構造物や地面、機械などがどの程度揺れているかを数値として捉える技術です。道路やビル、トンネルなどの大型構造物から、自動車のエンジンやモーター、ポンプまで、幅広いものが対象です。開発・設計では強度や特性の評価に、環境分野では鉄道や工事による振動が基準内かどうかを確認する目的で用いられます。

振動は周期的に繰り返すものと不規則なものに分けられ、JIS B 0153:2001では「平均値を中心に量が交互に変動する現象」と定義されています。こうした振動を振動計で測定・数値化することで、安全で安心な社会づくりに役立てられています。

 

1-1. 振動測定の目的

振動測定の目的は、機械や構造物の状態を把握し、トラブルを未然に防ぐことにあります。振動を継続的に測定・分析することで、設備保全や安全管理に役立てることが可能です。

  • 故障の予防と修理コストの削減
    異常振動を早期に検知することで、部品の摩耗や不具合を把握できます。計画的な部品交換や修理が可能となり、突発的な停止や高額な緊急対応を防げます。
  • 機械設備の寿命延伸
    振動データから劣化の兆候を捉え、適切なタイミングで対応することで、機械全体への負荷を抑え、設備の耐久性向上と寿命延伸が期待できます。
  • 生産効率の向上
    振動状態を把握することで、無駄なエネルギー消費や過剰な摩耗を防ぎ、安定した運転と生産性の向上につながります。
  • 安全性の確保
    異常振動を見逃さず対処することで、事故や重大トラブルのリスクを低減し、安全な作業環境の維持に貢献します。

 

1-2. 振動測定にあたって押さえておくべき3つの指標

振動測定では、計測の目的に応じて適切な指標を選ぶことが重要です。主に用いられるのが「変位」「速度」「加速度」の3つで、それぞれ振動の異なる側面を示します

  • 変位
    振動する物体が基準位置からどれだけ移動したかを表す指標です。低周波で大きな揺れを捉えやすく、建築物や大型設備の振動、加工精度など、変化量そのものが重要な場面で用いられます。
  • 速度
    単位時間あたりの変位量を示し、振動エネルギーの大きさを評価できます。中周波数帯に適しており、回転機械のバランス確認や振動のシビアリティ評価に広く使われます。
  • 加速度
    速度の変化率を示す指標で、高周波振動の検出に優れています。軸受や歯車などの劣化・異常を早期に見つける目的で活用されます。

 

2. 振動測定の対象

振動測定の対象物は大きく分けて、「機械設備」と「建物や地面などの環境」の2つに分類されます。機械設備では、モーターやポンプ、エンジンといった回転機械が主な測定対象となります。これらは振動が不具合の兆候として現れやすく、軸受や歯車の摩耗、バランス不良などを早期に検知する目的で振動測定が行われます。定期的な測定により、設備の安定稼働や製品品質の維持につなげることが可能です。

また、建物や地面の振動測定は、鉄道や道路、工事による振動が周辺環境に与える影響を評価するために実施されます。橋梁や建築物では、風や地震による揺れを把握し、耐震性や健全性の確認に役立てられています。

 

3. 振動測定に使用する機器

振動測定に使用する機器は、測定対象や評価目的によって異なります。建築・機械・環境といった分野ごとに、重視される振動量(変位・速度・加速度)が使い分けられてきました。環境分野では人体への影響を考慮し、振動加速度を基本とした評価が国際的に採用されており、ISO 2631やJIS C 1510、JIS B 7760シリーズなどの規格に基づく振動レベル計が用いられています。

一方、機械設備の振動測定では、加速度センサ(サーボ型・圧電式)で振動を検出し、アンプで信号を変換、解析用PCやデータレコーダーで記録・分析するのが一般的です。モーターや軸受など複数の振動源を持つ機械では、状態に応じて変位・速度・加速度を使い分けて測定します。

 

4. 振動測定のやり方

振動測定は、対象や目的に応じた手順で進めることが大切です。機械設備と建物・環境では測定方法や振動評価基準が異なるため、事前に測定対象を整理する必要があります。ここでは、モーターなどの機械設備を中心に、振動測定の基本的な流れとポイントを解説します。

 

4-1. 設置場所や測定点を選定する

振動測定の精度を高めるためには、最初に設置場所や測定点を適切に選定することが必要です。まず、対象となる機械の重要度を整理し、生産停止や安全面への影響が大きい設備から優先的に測定対象とします。モーターを例にすると、測定点は軸受近傍が基本となり、回転軸に対して水平方向・鉛直方向・軸方向の3方向で測定するのが一般的です。方向ごとに振動の特徴が異なるため、偏りなく把握することが求められます。

また、回転数や運転条件、温度などの特性を事前に確認し、想定される振動周波数帯を把握することで、後工程のセンサー選定や評価がスムーズになります。

 

4-2. 対象に合わせてセンサーを選ぶ

測定点が決まったら、対象や目的に応じたセンサーを選定します。振動測定では、想定される周波数帯に応じてセンサーを使い分けることが基本です。高周波振動の検出には加速度計、低周波中心の場合は速度センサーが適しています。

また、測定精度だけでなく、設置環境への配慮も欠かせません。測定環境が高温の場合は耐熱仕様、防爆エリアでは防爆仕様のセンサーを選ぶ必要があります。さらに、常時監視か間欠監視かといった運用方法も重要な判断要素です。設備の重要度が高い機械では常時監視方式、定期点検で十分な設備では間欠監視方式を選択することで、効率的な状態監視が可能になります。

 

4-3. センサーを使って振動を測定する

センサーを選定したら、計画した測定点に取り付けます。取り付け時は、緩みやズレが生じないよう十分に固定しましょう。磁力式やネジ固定式など、取り付け方法は対象機械の構造や作業環境に合わせて選択します。

その後、アンプやデータレコーダー、解析用PCと接続し、振動データを取得します。測定はリアルタイム監視または定期測定で行い、周囲のノイズレベルもあらかじめ把握することがポイントです。必要に応じてサンプリングレートやフィルタ条件を調整し、安定したデータを収集することで、後の分析や評価の精度が向上します。

 

4-4. 収集したデータを分析・評価する

収集した振動データは、そのまま数値を見るだけでなく、分析と評価を行うことで意味を持ちます。一般的には、時系列分析で振動値の推移を確認しつつ、スペクトル分析により周波数成分を解析し、特定の周波数帯に異常なピーク値が現れていないかを確認します。あわせて過去データと比較し、振動値の増加傾向や急激な変化がないかを把握しましょう。

モーターの振動測定では、ISO規格などに基づく速度の実効値を用いた絶対判定や、正常時データと比較する相対判定がよく用いられます。こうした基準を参考にしながら評価することで、異常の兆候を早期に捉え、適切な保全対応につなげられます。

 

まとめ

振動測定は、機械設備や構造物の状態を数値で把握し、異常の兆候を早期に見つけるために欠かせない手法です。変位・速度・加速度といった指標を目的に応じて使い分け、測定対象に適した機器やセンサーを選定することで、精度の高い測定が可能になります。

また、測定後は時系列分析やスペクトル分析を行い、過去データとの比較や規格に基づく評価を行うことが重要です。こうした一連の流れを正しく実践することで、設備の安定稼働やメンテナンス効率の向上、環境影響の低減につながります。振動測定を継続的に活用し、トラブルを未然に防ぐ体制づくりを進めましょう。

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