IoTとは?できること・メリット・活用例をわかりやすく簡単に解説
IoTは、センサーやデバイスを使ってモノ同士が情報をやり取りし、さまざまな作業を効率化する技術です。工場の機器を遠隔操作したり、家電をスマートフォンから操作したりすることができます。しかし、企業にとって価値のあるIoTの活用法がわからない方もいるでしょう。
当記事では、「IoTとは何か」についてわかりやすく説明した上で、IoTの利点や活用方法を解説します。IoT技術の可能性を知り、次の一歩を踏み出しましょう。
1.IoTとは?
IoTとは「Internet of Things(モノのインターネット)」の略で、さまざまなモノがインターネットを通じて接続され、情報を交換する技術です。読み方は「アイオーティー」です。
従来はパソコンやサーバーなどのIT機器が主にインターネットとつながっていましたが、近年ではセンサーやスマート家電、車など、あらゆるモノがインターネットを介して情報をやり取りできます。これにより、モノに蓄積されていたデータをサーバーやクラウドに集めて分析し、必要に応じて遠隔から制御するといった新しい仕組みやサービスが生まれました。
各種センサーや無線通信技術、クラウドサービスの性能向上と低価格化も相まって、IoTの導入は以前よりも身近になり、企業活動や日常生活を大きく変える技術として注目を集めています。
2.IoTで実現できること
IoTにはさまざまな活用法があり、企業や社会の課題解決に大きく貢献しています。 ここでは、IoTで実現できる代表的な事例を解説します。
2-1.遠隔監視
モノにIoT化されたセンサーを搭載することで、離れた場所からでもさまざまな状態をリアルタイムに把握できます。たとえば、工場内の冷凍庫やダムの水量など、常時見守る必要がある設備をモニタリングするだけでなく、カメラと組み合わせて従業員やモノの動きを観察すれば、生産性低下の要因となっている工程を洗い出せます。
河川に無線センサーを設置した場合は、定期的な巡回を減らしながら、24時間365日水位の状況を確認することが可能です。家庭向けのIoT製品の中には、照明やエアコンなどの家電やペットの状態を遠隔地から見守り、必要に応じて対処できる製品も販売されています。センサーで得られるデータを活用してモノや人の状態から気づきを得られる点は、IoTによる遠隔監視の魅力と言えるでしょう。
2-2.遠隔操作・遠隔制御
IoTシステムを活用すれば、インターネットを介して離れた場所にあるモノをリモートで動かすことが可能です。たとえば、スマートフォンを使って外出先から装置の電源をON/OFFするだけでなく、温度調整など細かな設定を変更できます。
防犯カメラの映像と連動させれば、セキュリティ対策の強化につながります。異常を検知した際にそのままカメラの向きを変えて確認し、必要に応じてドアやシャッターを開閉することも可能です。センサーから得た情報を組み合わせて即座に修復や調整を行うことも容易になるため、トラブル対応やコスト削減にも大きく寄与するでしょう。
2-3.予知・検知
リアルタイムの状況を確認する中で異常や危険を予知・検知し、迅速に対処することで人々の安全性を守るのもIoTで実現できることの1つです。老朽化が進む橋やトンネルといったインフラに対し、IoT機器のセンサーを用いて異常を自動判定する仕組みを導入すれば、点検のために膨大な時間や労力をかけなくても問題箇所を特定できます。
工場や建設現場などでは、人やモノの動きをリアルタイムに検知することで、事故を未然に防げます。自動車や農業分野では、タイヤの空気圧や作物の栽培環境を常時監視し、異変があればアラートを発信する活用法が増えています。予知・検知機能によって重大なリスクを回避しながら、従来は経験や勘に頼っていた保全作業をより効率的かつ正確に行える点は、IoTの大きな特徴です。
2-4.通信・連携
IoTでは、インターネットを介して機器同士が通信・連携し、動作することが可能です。たとえば、店舗の売上データと監視カメラ映像を組み合わせれば、IoTデータを活用し、商品の配置や顧客動線に関する新たな発見を得られるでしょう。
また、スマートホームやスマートビルディングのように、エアコンや照明、カメラなど複数の機器が相互に情報を交換して自動制御を行う事例も増えています。IoT導入により、データなどの情報をもとにモノが自動的に判断・動作する「自動化」も推進できます。
3.IoTを導入するメリット
製造業に限らず、さまざまな業種でIoTの導入が進んでいます。業務効率化やコスト削減、新たなビジネスの創出など、多くのメリットが期待できるIoTの具体的な利点を3つ紹介します。
3-1.生産性の向上・コストの削減が期待できる
IoTを導入すると、センサーやカメラが収集するリアルタイムのデータをもとに、製造ラインや在庫管理などの作業工程・生産管理システムを大幅に効率化できます。たとえば、検品作業を自動化すれば、ヒューマンエラーを削減しながら高精度な品質を維持することが可能です。
また、工場や倉庫の状態を一元管理すれば、必要な資源や人員を最適化できるため、不要な人件費や移動コストの圧縮にもつながります。こうした効率化とコスト削減の相乗効果は結果的に企業の生産性を高め、競争力強化に結び付くでしょう。
3-2.人手不足の解消・技術の継承を図れる
IoTを活用して特定の業務を省人化・自動化すれば、少子高齢化による人材不足の影響を抑えられます。たとえば、工場内の監視作業や検品などの単純業務をIoTデバイスに任せると、熟練技術者はより高度な業務へ集中でき、人手不足による生産性低下を防げます。
また、熟練者の操作や判断基準をIoTで記録・分析することで、現場のノウハウを「見える化」し、組織全体に共有することも可能です。経験と勘に頼りがちな業務プロセスを標準化し、新人でも短期間で専門的なスキルが身に付く体制が整えば、技術継承が進むでしょう。
遠隔トレーニングやリモートサポートにもIoTを生かせるため、地理的制約を超えた技術者同士の連携やコラボレーションの可能性も広がります。
3-3.データを活用して新たなビジネスを創出できる
IoTデータは単なる数値ではなく、ビジネスに利益をもたらす重要な情報源になります。たとえば、製造ラインの稼働状況を詳細に把握すれば、不良品率や歩留まり率の改善はもちろん、ユーザーが抱える潜在的なニーズを分析して新商品の開発につなげることも可能です。
顧客の使用状況データをもとに製品やサービスの付加価値を高める工夫をすることで、顧客満足度の向上だけでなく、サブスクリプションモデルなど新たな収益源を創出できるでしょう。ビッグデータを活用することは、従来のやり方では見出せなかったビジネスチャンスを発掘し、さらなる成長やイノベーションにつなげられる点が大きなメリットです。
4.【業界別】IoTの具体例
多種多様な業界でIoTは活用されていますが、ここでは製造業界と電力会社のIoT活用事例をピックアップします。
<製造業界>
製造業界では、生産ラインにIoT対応デバイスやセンサーを組み込み、温度や圧力、稼働時間などのデータをリアルタイムで収集・分析する取り組みが進んでいます。異常値を検知した際に即座にアラートを出す仕組みを整えると、ダウンタイムの短縮や不良品の発生抑制が期待できます。また、作業工程の映像をクラウドで共有すれば、遠隔からでも現場の改善点をすばやく把握できるため、業務効率化や品質管理の高度化につながるでしょう。
<電力業界>
電力業界では、発電所や変電設備、送電線などへIoTセンサーを設置し、センサーデータを収集して稼働状況や温度、振動などを遠隔監視する事例が増えています。異常の早期発見や予兆保全が可能となることで、設備故障の未然防止やメンテナンス計画の最適化に貢献しています。また、スマートメーターやLPWA(省電力無線通信)の活用により、家庭・事業所の消費電力をリアルタイムで可視化し、需給バランスの調整やデマンドレスポンスといったIoTソリューションの開発につなげています。
まとめ
IoTは、企業活動・管理システムの効率化から新たなビジネス創出まで幅広く応用することが可能です。生産性向上やコスト削減、技術の継承に役立つだけでなく、センサーやデバイスが収集したデータを活用することで新しい市場を開拓する可能性も広がります。
特に製造業や電力業界では、IoTの導入により効率化を図り、予知保全や遠隔監視などの機能を通じて安全性の向上を目指しています。企業としてより効率的な運営や競争力の強化を実現したい場合は、IoTの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。