露点とは?湿度との違いや露点計の種類・必要性も解説

露点とは、空気中の水蒸気が冷却されて液体(水滴)に変わり始める温度のことを指します。露点を正確に理解することで、湿度管理や水分の影響をより効果的にコントロールできます。また、露点の計測技術は、食品の品質保持、半導体の精密製造、塗装や燃焼工程など、産業分野においても不可欠な役割を果たしています。

当記事では、露点の基本的な仕組み、湿度や飽和水蒸気量との関係、実用例などを詳しく解説します。

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1.露点とは?

露点とは、気体を冷却した際に凝結が起こる温度のことです。空気中の水分が結露状態になる温度であり、「露点温度」とも呼ばれます。

物質は、温度と圧力によって気体・液体・固体のいずれかの状態で存在するものがほとんどです。身の周りにある水分の場合、水蒸気が気体、水が液体、氷が固体に分類されます。水分の露点は、水蒸気が水滴(水)になる温度のことです。

日常生活の中でも、湯気や霧など、さまざまな場面で露点による水分の変化が見られます。また、塗装や半導体、電力、鉄道、再生エネルギーなど、工業分野をはじめとするさまざまなシーンでも露点は重要な要素となります。

 

1-1.湿度との違い

湿度とは、空気中に含まれる水分の割合のことです。露点は気体の凝結が起こる温度を指しますが、湿度は特定の温度を指すわけではなく、空気中に含まれる水蒸気量・水蒸気圧を表しているという違いがあります。

湿度の表し方は「相対湿度」と「絶対湿度」の2種類です。相対湿度は、ある温度における飽和水蒸気量を100%と仮定し、実際の水蒸気量の値を比率で表したもの、つまり空気中の水蒸気量が何%なのかを表す数値となります。一方、絶対湿度は空気中の水蒸気量を容積・重さ・圧力などで表したものです。

なお、露点とやや似た言葉に「沸点」があります。沸点は液体が気体に変化する温度であり、水で言うと沸騰が起こる100度のことなので押さえておくとよいでしょう。

 

2.露点を求めるために必要な知識

露点を求めるためには、露点とは何かを学んだ上で、飽和水蒸気量について知る必要があります。以下で飽和水蒸気量の定義と露点の求め方について紹介するので、一度チェックしておくことをおすすめします。

 

2-1.飽和水蒸気量とは

飽和水蒸気量とは、空気中にこれ以上水分が入らない「飽和状態」における水蒸気の量のことです。厳密に言えば、1立方メートルの空間に存在できる水蒸気の量を指します。

空気中の水蒸気量と飽和水蒸気量が等しくなる温度のことを露点と呼び、露点では相対湿度は100%になるのがポイントです。つまり、露点を調査するためには空気中の水分量を把握する必要があります。

飽和水蒸気量は温度によって左右されるのが特徴です。高温下の空間ほど多くの水蒸気を空気に含むことができ、反対に温度が低いほど飽和水蒸気量は小さくなります。温度による飽和水蒸気量の違いを確認できる分かりやすい例の1つが、結露です。暑い夏場に、よく冷えた水が入ったグラスを机に置いておくと、グラス表面に無数の水滴がつき始めます。これは、空気が冷やされていく内に空気中の水蒸気量が飽和水蒸気量を下回り、水蒸気が液体に変わったことで発生する現象です。

工業分野など、水蒸気が品質を左右する場合には、一般的に露点計を用いて露点を測定します。

 

3.露点を計測する必要性

露点は環境の快適性や製品の品質、安全性などに関係するので、さまざまな分野・業界で計測する必要があります。以下は露点計測が求められる分野・業界の代表例です。

・食品業界

食品業界では、食品のおいしさと安全性を確保するために、さまざまな工程で露点の計測が行われます。パンの発酵工程管理や飲料製造工場での充填工程・包装工程、スナック菓子の火入れ管理やパッケージ工程などは、食品業界で露点の計測が必要になる代表的なポイントです。

・製薬業界

医薬品は人体の中に取り込んで作用するので、極めて高い安全性が必要です。カビや微生物による汚染を防ぐためにも、製薬業界での露点の計測は欠かせません。また、薬の原料を粉末から顆粒の状態に加工したり、 錠剤の形に成型したりする際にも水分管理が必要になります。

・ガス分野

ガス分野で扱うのは、製造現場や医療分野、食品加工など、さまざまな場面で使われるガスです。ガスの純度管理や充填工程での品質監視、充填設備管理において露点の計測が行われます。

・半導体分野

半導体分野において、水分や酸素といった外乱要因の除去は大きな課題です。そのため、半導体の製造や搬送、検査など、さまざまな工程で露点の計測が行われます。

・自動車業界

自動車を構成するさまざまな部品にはそれぞれ品質管理が必要であり、露点の計測や酸素濃度の管理などが行われます。また、塗装の品質維持や燃焼排気ガス測定などの際にも露点の計測が必要です。

ほかにも、水素ステーションにおける燃料電池自動車充填水素の不純物管理や、製鉄分野における鋳造工程での品質管理など、多くの分野・業界で露点の計測が行われます。ただし、すべての分野・業界で同じ計測器を使用しているわけではありません。露点を測る目的などによって、最適な露点計を選ぶことが大切です。

 

4.露点計の種類

露点計にはさまざまな種類があり、使用するモデルを選ぶ際には用途と測定原理などを照らし合わせて判断する必要があります。また、屋外や複数の場所などで使用する場合には、持ち運びに便利なハンディタイプの露点計を選ぶのも1つの手です。以下のリンク先からレンタルできるため、利用を検討するとよいでしょう。

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露点計の種類は、大きく分けて「鏡面冷却式」と「静電容量式」の2つです。それぞれの概要と原理を解説します。

 

4-1.鏡面冷却式

鏡面冷却式は、鏡面表面の霜形成の状態から露点温度を測定する露点計です。気体の通路に小さな鏡を設け、鏡面を冷却することによってできる結露または霜を光学的に検出し、温度センサーで鏡面温度を読み取って露点温度を計測します。例えば、鏡面の温度をマイナス80度まで下げたときに鏡面が曇り始めた場合、試料気体の露点温度はマイナス80度であることが分かります。

鏡面冷却式は露点の原理を直接採用した測定器であり、信頼性が高く測定結果が安定しているのがメリットです。多くの露点計で鏡面冷却式が採用されており、実験室や研究室の基準器用途としても使用されています。

ただし、鏡面冷却式の露点計は高価な傾向があり、サイズが大型である点や応答時間が遅い点など、いくつかの短所もあります。また、鏡面冷却式の露点計は鏡面に試料気体が直接触れるので、汚れを含んだ水滴などが鏡面に付着し、測定誤差を招く場合がある点に注意しましょう。鏡面冷却式で適切な測定を行うためには、鏡面を定期的にクリーニングすることが大切です。

 

4-2.静電容量式

静電容量式は、センサーエレメント部に静電容量回路を用いた露点計です。静電容量式の露点計は周囲の気体中の水分に反応する誘電体の層を持っており、吸収された水分を検出することで露点を測定します。

静電容量式の長所は、比較的低価格な点や、反応時間が速い点、装置の小型化が可能な点などです。設置型、オンライン型、ポータブル型とさまざまなタイプがあり、現場への設置にも向いていることから多くの露点計で採用されています。

ただし、静電容量式は検知素子に金属酸化物を使用しているので、経年変化する点に注意が必要です。静電容量式の露点計を安定的に使用するためには、使用・未使用に関わらず、1年に1回程度の定期的な点検校正が推奨されています。

 

まとめ

露点は、空気中の水蒸気が液体に変わり始める温度であり、湿度管理や水分制御において重要な指標になります。食品や製薬、半導体など、多くの業界で露点の管理が製品の品質や安全性に直結するので、露点の正確な計測が必要です。

露点計には用途や精度に応じて複数の種類が存在するので、それぞれの特徴や使用環境に適した露点計を選びましょう。露点計はレンタルも可能なので、ぜひ一度お問い合わせください。

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