クレーンスケールとは?種類や実際の使い方について詳しく解説
クレーンスケールは、大型の荷物や形状が不規則なものをクレーンで移動させながら手軽に計量できる便利な機器です。工場での生産ラインや建設現場、物流倉庫など、さまざまな場所で利用されています。
しかし、「クレーンスケールを導入したいが、どのような種類があるのか」とお悩みの担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。当記事ではクレーンスケールの種類や選び方、使い方、注意点など、導入前に知っておきたいことを詳しく解説します。
1.クレーンスケールとは?精度について解説
クレーンスケールとは、クレーンなどに吊り下げて、吊り上げた物の重さを測るための計量器です。別名「吊りはかり」や「ホイストスケール」とも呼ばれています。工場の生産ラインや建設現場、物流倉庫など、さまざまな場所で利用されており、台はかりでは計量しにくい荷物の重量測定に欠かせない機器です。
計量後もそのまま物体を移動できるため、運搬と計量を一連の動作で行える点が大きな利点です。また、クレーンスケールは地面が水平でない場所でも計測が可能で、現場に持ち運びやすい軽量モデルもあるため、広いスペースが取れない現場や屋外でも作業ができます。
1-1.クレーンスケールの精度・分解能
クレーンスケールの精度と分解能は、計測の正確さや感度に密接に関わる要素です。
分解能は、重量の微細な変化をどれだけ正確に検出できるかを示し、スケールが感知可能な最小の重量単位に相当します。一方、精度は実際の値にどれだけ近いかを表し、計測の緻密さや正確性を指します。
厳密な品質管理や安全性が求められる用途では、高い精度と分解能を備えたクレーンスケールが推奨されます。クレーンスケールを選ぶ際は、どの程度の重量変化を感知する必要があるかを考慮して選定するとよいでしょう。
2.クレーンスケールの種類とおすすめの場面・用途
クレーンスケールの種類は、大きく分けてデジタル式とアナログ式があります。
デジタル式は精度が高く、計測結果が数値で表示されるため、読み取りが簡単です。また、無線でデータを取得できるワイヤレスタイプもあります。近年ではデジタル式が主流となっていますが、操作がシンプルで安価に使用できるアナログ式を選ぶことも可能です。
以下では、おすすめの場面や用途に対応するクレーンスケールの種類を解説します。
2-1.デジタルクレーンスケール
デジタルクレーンスケールは、電子化された吊りはかりで、重い荷物の計量に適しています。圧電素子や電気伝導素材が内部に組み込まれており、重量に応じて変化する電気信号を測定して重量を算出します。この技術により、バネを使った従来の吊りはかりでは計測が困難であった超重量物の測定も可能です。
例えば、防塵・防水機能が搭載されたデジタルクレーンスケールであれば、粉塵や水が多い環境でも安心して使用できます。また、LED表示や日本語操作ボタン、ゼロ点自動調整、風袋引き機能、上限・下限のチェック機能など、便利な機能を搭載したモデルが多いです。
デジタルクレーンスケールは主に工場や建設現場、物流倉庫などで活用されています。
2-2.アナログクレーンスケール
アナログクレーンスケールは、バネの反発力を利用して計量するスケールで、シンプルな操作性が特徴です。電源が不要で、バッテリー切れの心配がないため、長期間保管後でもすぐに使用できる利便性があります。また、電磁波の影響を受けにくいため、電子機器が使いにくい場所や状況でも使用可能です。
計量結果は目盛りに表示されるため、見る角度により誤差が生じることや、バネ式のため振動で針が揺れる点はデメリットと言えるでしょう。
工場や建設現場、またアウトドアでの荷重確認など、環境が厳しい現場で重宝されています。デジタル式が普及する中、堅牢性や低コストでのメンテナンスが求められる場面では、今も根強い人気があります。
2-3.ワイヤレスクレーンスケール
ワイヤレスクレーンスケールは、重量データを無線で送信し、離れた場所からも計測結果を確認できる便利な計量装置です。無線式ホイストクレーンスケールとも呼ばれます。
本体とディスプレイがワイヤレス接続されているため、危険な高所や離れた距離からでも手元でデータを確認できます。また、パソコンへのデータ取り込みやプリンター出力が可能で、記録や管理が簡単です。
ワイヤレスクレーンスケールは、工場・倉庫などでの積み降ろし作業、物流・建設現場などの安全性や作業効率が重要な場面で幅広く利用されています。近年では、1,600℃程度の溶湯の直上に耐えるワイヤレスクレーンスケールもあり、さまざまな環境で使用できます。
2-4.軽量クレーンスケール
軽量クレーンスケールとは、クレーンスケールの中でも軽量で持ち運びしやすいタイプのスケールです。一般的に20kg未満の軽量設計のものを指し、農作物の卸売市場や運送業の荷物計量、屋外作業などで活用されています。
軽量クレーンスケールには、各メーカーでさまざまな種類があります。代表的なものは、耐久性が高いアルミ製やステンレス製のボディを採用し、持ち運び時の衝撃や天候に耐える防塵防水仕様のモデルです。また、風や振動の影響を受けにくい自動ホールド機能を持つモデルや、長時間使用できる乾電池対応モデルなどもあり、幅広い用途で使用できるでしょう。
2-5.高精度クレーンスケール
高精度クレーンスケールは、通常のクレーンスケールに比べて非常に高い精度で重量を測定できる計量器です。わずかな誤差も許されない場面での計量に適しており、産業用の精密な計量が求められる現場で活躍します。
一般的には、製造業での材料計量や物流業界での高価な製品の計量、または精密部品の計量など、正確な重量データが必要な場面で使用されます。
取引や証明に使用できる「検定付」モデルであれば、経済産業省の基準を満たしているため、計量結果を公式な取引の証明として用いることも可能です。
3.クレーンスケールの使い方
クレーンスケールは、大型の荷物の重量を測る上で便利なものの、安全かつ正確に使用するためには、いくつかの注意点を守ることが大切です。
まず、計量する荷物の概算重量を把握し、クレーンスケールの計量範囲が適切か確認します。バッテリー式の場合は、十分に充電されているかを確認し、クレーンへの取り付けが確実に行えるように、フックやワイヤーロープなどを準備しましょう。何も吊り下げない状態でクレーンスケールの表示が「0」になっていることを確認し、ゼロ調整機能がある場合はこの段階で行います。
次に、クレーンスケールに荷物をゆっくりと吊り下げ、表示が安定するまで待ち、重量を確認します。この際、クレーンが振動したり、荷物が揺れたりしないよう注意が必要です。計量が終わったら荷物をゆっくりと降ろし、電源を切り、クレーンスケールを安全な場所に保管します。
計量範囲を超える荷物を吊り下げると、クレーンスケールが破損する恐れがあるので注意しましょう。各メーカーのクレーンスケールには取扱説明書が付属しています。使用前に必ずよく読み、記載された正しい方法で操作しましょう。
まとめ
クレーンスケールは、大型の荷物の計量や、移動中の計量など、さまざまな場面で活躍する便利な計量器です。台はかりでは計量しにくい荷物がある場合には、クレーンスケールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
一方、クレーンスケールは構造上、経年劣化により金属疲労や変形などが起きやすい機器です。切断事故につながる恐れもあるため、長期間使用する際は定期的なメンテナンスを行いましょう。また、軽量精度の保証のために、おおよそ2年に1回程度の検査を行うことが推奨されます。