ピンホールとは?発生の原因や補修・早期発見の方法を解説
ピンホールとは塗装トラブルの一種であり、塗膜表面に発生する小さな穴のことを指します。施工完了後のタイミングで発生するので、しばらくの間は注意しておく必要があります。
当記事では、ピンホールの発生原因や適切な補修方法について詳しく解説します。ピンホールは放置すると塗装のはがれや劣化につながる場合もあるため、早期発見し対処することが大切です。
1.ピンホールとは?
ピンホールとは、塗膜表面に発生する小さな穴を指します。気泡と呼ばれることもあり、塗装が乾いた後に針穴のようなぽつぽつとした穴が開きます。塗装トラブルの1つで、数個の目立たないものから数十個のピンホールが密集して発生するケースまで、さまざまです。
施工してから1週間~10日ほどのタイミングで発生するため、施工完了後もしばらくの間は注意が必要です。
1-1.ピンホールが発生する原因
ピンホールが発生してしまう原因として、以下の6つがあげられます。
・塗装の乾燥時間が短い
塗装が乾ききらないうちに下塗り・中塗りを重ね塗りすると、塗装の密着が低下します。その結果、塗装面と塗料の間に空気が入り、気泡ができて塗装表面へのピンホール発生につながります。
・塗料の希釈率を間違えた
塗料の希釈率を誤ると、ピンホールが発生することがあります。塗料には水やシンナーで希釈して使うタイプがあり、薄めすぎると粘度や成分が足りず、空気が入りやすくなってしまいます。反対に濃すぎてもピンホールを招くので、きれいに塗装するためには正しい希釈量で使用しなければなりません。
・塗装する環境が悪い
塗装工事中の気温や環境も塗装の仕上がりに影響します。外気温が5度以下の場合、規定の乾燥時間を取っていても塗料が乾いていない可能性があります。ピンホールを防ぐには、塗装時の環境に合わせて工程を組み、適切な気温の時間帯に施工するなどの対策が必要です。
・道具選びや塗装の腕が悪い
塗料に合わない道具の使用や塗装技術の不足によって、塗装の粒子が粗くなったり塗装面に泡を作ったりしてしまい、ピンホールが発生するケースもあります。必要以上に塗料を厚く塗りすぎるのも乾燥不足を招き、よくありません。塗料の粘度や種類に合わせて、スプレーガンやローラー、刷毛を使い分け、正しい塗装方法をとる必要があります。
・塗料に不純物が混入していた
塗料に混入した不純物によって塗料の密着が悪くなり、隙間ができてピンホールの発生するケースもあります。塗装面に水分やゴミ、油が付着していると塗料に不純物が混ざり、仕上がりに悪影響を与えるでしょう。
・下地に巣穴があった
下地に巣穴と呼ばれる空気が溜まる穴が開いていると、乾燥後の塗装面にも穴が開きやすくなります。これは洗浄やヤスリがけなどの下地処理を怠り、凹凸がある状態で塗装を始めてしまうことが原因です。
2.ピンホールが発生するとどうなる?
ピンホールが発生してしまうと、外観が損なわれることに加えて、塗装面や外壁そのものの耐用性にも影響する可能性があります。
ピンホールが及ぼす影響の1つは、塗装の剥がれです。穴から雨水や結露などの水分が塗膜内部に入り込んでしまうと、寒い時期に入り込んだ水分が凍って膨張し、塗料の剥がれを引き起こします。また、外壁に当たった太陽光がピンホールに集光されて外壁の下地にダメージを及ぼす恐れもあります。下地の傷みは外壁の損傷や塗装が剥がれる原因になりかねません。
さらに、ピンホールは塗装の持続性や外壁の耐用年数にも悪影響を及ぼします。通常よりも早くメンテナンスが必要になったり、建物の痛みにつながったりするため、気にならないからと言って見過ごすのは得策とは言えません。
たとえ外壁の損傷が生じなかったとしても、ポツポツと穴の開いた外壁は見た目も悪いため、早急な対処が求められるでしょう。
3.ピンホールの補修方法
ピンホールが発見された場合、どの程度の補修をすべきか判断しなければなりません。ピンホールによるダメージを最小限に抑えるためには、ピンホールの程度に合わせた適切な対応が必要です。
ここでは、ピンホールが見つかった際の2つの対処方法を解説します。
3-1.施工不良か確認する
まずは、ピンホールが施工不良によるものかを確認しましょう。
ピンホールは天候や気温など制御できない要因で発生するケースから、塗料の希釈率の誤りや下地処理の甘さ、技術不足など施工ミスによって生じるものまでさまざまです。広い面に少しだけ発生しているピンホールはほとんどの場合問題はありません。しかし、たくさんのピンホールが集中して発生しているケースでは、塗装作業時に何らかの不備が生じている可能性があるため、施工業者に手直しをしてもらう必要があります。
補修が必要なものか判断するのは難しいため、業者と連絡をとって確認してもらうのがよいでしょう。優良業者であれば、ピンホールが塗装に影響を及ぼすかを正しく判断し、適切な対策を取ってくれます。問い合わせの際はピンホール部分の写真を撮っておくと、状況が分かりやすく、話し合いに役立ちます。
また連絡する際は、保証書に書かれている保証期間や保証内容を把握しておくことが大切です。補修の依頼時にどの程度まで保証を求められるのか明確になっているほうが、交渉の際に施主の権利をきちんと主張できます。
3-2.施工業者に修正を依頼する
補修が必要な場合は、施工業者に依頼して適切な処置をしてもらいます。
少しのピンホールも自分で補修を行うのはおすすめできません。塗装は外壁面を保護するのに重要な部分で、技術がない人が行うと外壁自体が損なわれる恐れがあります。また、自身で手を加えたことで、施工業者の保証がきかなくなるケースもあります。ピンホールを見つけたら自分で直そうとはせずに、施工技術のあるプロに任せましょう。
施工不良によるピンホールに対しては、誠実に対応してくれる施工業者がほとんどです。しかし業者によっては対応が悪く、補修を渋ったり費用を請求されたりするケースも少なくありません。外壁塗装の依頼時は、ピンホールが発生するケースを考え、アフターケアまでしっかり対応してくれる業者選びが大切です。
4.ピンホールは早期発見が大切!
ピンホールによる塗装や外壁の傷みのリスクを防ぐには、ピンホールに早い段階で気がつき、対策を講じることが大切です。しかし、広い塗装部分を細かく目視し、小さなピンホールを見つけ出すのは労力がかかり、見落としが出てくる可能性もあります。ピンホールの有無を隈なくチェックするのに有用なのが、機器を使った検査方法です。
ピンホールを探す機器には、放電式やX線や超音波、浸透液を用いたタイプなどさまざまな種類があります。検査対象を傷つけることなくピンホールの有無を確認できるため、安心して検査が行えます。検査対象の形状に合わせて適した機器を使うなら、目視では検査しきれない部分もより正確に判定できるでしょう。
ピンホール探知機は自身で購入しなくても、レンタルすることが可能です。レンタルであれば塗装の厚みや下地の材質に合わせてその都度機器を使い分けられるというメリットがあります。ピンホール探知機をうまく活用して、塗装の劣化や腐食を未然に防ぎましょう。
まとめ
塗膜表面に小さな穴が発生するピンホールは、塗装や外壁の耐用性に影響を及ぼす可能性があるため、早期発見と適切な対応が重要です。
広い塗装部分を目視で細かく確認するのは大変ですが、機器を使用した検査方法を活用すれば、効率的にピンホールの有無を確認できます。レンタル可能なピンホール探知機を使えば、塗装の厚みや下地の材質に合わせて適切な検査が行え、塗装の劣化や腐食を防ぐことができます。ピンホールによるトラブルに備え、早期発見と適切な対策を講じましょう。