ニオイセンサーとは?仕組みや活用シーン・使用時の注意点も解説

ニオイが発生しているかどうかを知りたいときは、ニオイセンサーを活用するのがおすすめです。ニオイセンサーはニオイの有無を数値として測定でき、人間よりも高い感度でニオイを検知できる製品もあります。

当記事では、ニオイセンサーの仕組みや使用時の注意点について詳しく解説します。ニオイセンサーは品質管理や異常検知にも使えるため、製品や環境の安全性を高めたい方は当記事を参考にして、ニオイセンサーを活用しましょう。

1.ニオイセンサーとは?

ニオイセンサーとは、ニオイを数値によって可視化できる機能のことで、ニオイの有無や濃度を測定できます。

ニオイは生活環境の質を左右する重要な要素の1つであり、あまりにも強い悪臭は感覚公害にあたります。ニオイセンサーを駆使してニオイの有無を数値化することは、異常を早期発見するためにも重要な作業です。

たとえばセンサーが認識するほどの異臭が生じている場合、人間にとって有害なガスの発生も考えられます。ニオイセンサーで悪臭の発生を検知して、早急に対処することで、事故防止にもつながります。

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1-1.そもそもニオイのメカニズムは?

生き物は、ニオイ物質が体内の感覚器官に触れ、脳がそれを認識したときにニオイを感じます。

ヒトがニオイを感じる一連のメカニズムは、鼻腔最上部に位置する特殊な粘膜、嗅上皮にニオイ物質が溶け込むことで生じます。ニオイ物質に反応した嗅上皮の嗅細胞が電気信号を発し、嗅神経、嗅球、脳へ伝達して「ニオイがする」と認識します。

ニオイの感じ方は、人によってさまざまです。個人差に加えて性別、年齢、体調などほかの要因によっても左右される上、同じニオイを長時間嗅いでいると、順応して感じにくくなることもあります。

1-2.ニオイセンサーの仕組み

ニオイセンサーの測定原理には、「半導体式」と「水晶振動子式」、2種類の方式があります。

各方式のニオイセンサーがニオイを検知する仕組みは、それぞれ下記の通りです。

・半導体式

金属酸化物半導体を使用した方式です。ニオイがないときは、半導体でできたセンサー素子には空気のみが触れるため、なんの反応も起こりません。センサー素子の表面にニオイ分子が吸着すると、抵抗値が変化して臭気を検知します。抵抗値における数値の大きさが、ニオイの強さを表します。

酸化物半導体のほかにも、ポリピロールやポリアセチレンを使用した有機半導体式もあります。有機半導体式は有機系のニオイを検知するのに向いていますが、酸化物半導体式よりも高価です。

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・水晶振動子式

水晶振動子の表面に、ニオイ感応膜を貼り付けた方式です。感応膜にニオイ分子が吸着して質量が増加すると、共振周波数が低下します。感応膜の質量がどの程度増加したのか、すなわち共振周波数の低下量によってニオイ物質の濃度が分かります。

水晶振動子式に使用される感応膜は、天然脂質膜または合成脂質膜です。複数のセンサーを使用して、出力パターンをもとにニオイの識別を行う方法もあります。

半導体式は幅広い製品に導入されており、ガス検知器にも利用されているほど一般的です。水晶振動子式は嗅覚に近いセンサーが期待できる方式で、酒類やコーヒー、香水など有機系のニオイの識別を得意とします。

2.ニオイセンサーが活用されるシーン

ニオイセンサーは、多くのシーンで活用されています。前述の通り、ニオイセンサーには複数の方式があるため、購入時は用途に合ったタイプを選ぶことが大切です。

ここではニオイセンサーが活用される主なシーンとして、3つの用途を紹介します。

2-1.品質管理

食品・化粧品など製品の研究開発・品質管理にニオイセンサーが活用されることがあります。たとえば製品を製造するとき、ニオイ成分にセンサーが反応した場合、原料に原因があるのか、製造の過程や保管場所に問題があるのかを把握しなくてはなりません。

ニオイセンサーは臭気があるガスのみならず、製品や原料から生じているニオイ成分を検知・測定します。各種食品や化粧品から検知したニオイ成分は許容できる程度なのか、規格に適合したものなのかを測定して、品質保持に役立てます。

研究開発や品質管理でニオイセンサーを使用するシーンはさまざまで、原料の受入検査や製品の出荷検査で使用するほか、食品などの鮮度測定に用いられる場合もあります。

2-2.環境管理

ニオイセンサーを環境管理のために使用する場合、室内と室外の両方のパターンがあげられます。

室内でニオイセンサーを使用する目的は、住宅やオフィスなど建物の室内空気品質を管理することです。異臭の発生を検知したり原因を特定したりと、居住環境を快適に維持するため空気清浄目的で活用されます。

室外でニオイセンサーを使用するときは、主に周辺住民への被害防止や環境保護が目的です。廃棄物処理施設や建築現場など作業現場の周辺では、異臭による影響が生じないようにニオイセンサーで適宜ニオイの程度を把握する必要があります。

2-3.異常検知

工場など作業員の安全性を維持する必要がある現場では、異常検知のためにニオイセンサーが活用されています。

工場では化学物質を使用することもあり、中には人間の嗅覚では感知できない有毒ガスが生じるものもあります。人間が感知できないニオイ物質などの異常を検知するには、ニオイセンサーなど専門的な計測器による監視システムが必要です。

ほかにも医療現場では、患者の呼吸や体臭に現れる異常の検知など、健康状態のモニタリング目的でニオイセンサーが導入されています。

3.ニオイセンサーを使用するときの注意点

ニオイセンサーは室内環境を快適にするだけでなく、さまざまな用途で活用できる便利な機能です。利便性を最大限に活用するために、ニオイセンサーにできること・できないことを理解した上で正しく使用しましょう。

ニオイセンサーを使用するときに気をつけたい、3つの注意点を紹介します。

3-1.ニオイの識別はできない

ニオイセンサーは、あくまでニオイの有無や強さを感知するための測定器です。検知されたニオイは数値化され、モニターにもレベル表示されるのみで、詳細は識別できません。

たとえばニオイセンサーが同程度の強いニオイを2種類検知したとき、一方を「好ましい香り」あるいは「悪臭」と区別することは困難です。ニオイセンサーの検知結果は、どちらも数値のみで表示されます。ニオイの強さがどちらも同程度であれば、好ましい香りも悪臭も表示結果は同じ数値となります。

ニオイの良し悪しはもちろん、種類の識別にも対応していないため、使用する場面には注意しましょう。

3-2.ガス検知器としては使えない

ニオイセンサーはニオイの強弱を検知できても、ガスの濃度は測定できない仕様です。前述の通り、ニオイセンサーはニオイの識別まではできないため、ガスの種類に関する判別も対象外です。有毒ガスなのか、可燃性ガスなのかの種類は判別できず、ニオイのあるガスが発生していることのみが分かります。

また、ニオイのないガスは検知が困難です。センサーがニオイを検知する原理は似ている部分がありますが、ガス検知器としての機能は搭載されていません。臭気測定のみならずガス検知器が必要な場合は、別途用意しましょう。消臭や原因菌の除菌も、脱臭機など専用の機械が必要です。

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3-3.測定できないニオイがある

ニオイセンサーを使用するときは、機器と測定対象の相性も考慮しましょう。ニオイやガスの発生源によっては、ニオイセンサーの感知機能に悪影響を与えたり破損させたりするおそれがあります。

たとえば下記のニオイやガスは、ニオイセンサーによる測定は避けるべきです。

  • 高濃度のニオイ物質(硫化物など)
  • シリコーン化合物
  • 高濃度のタール
  • 蒸気(オイルミストなど)
  • 高濃度の塩化物や強酸物質のガス
  • 塩素を含んだハロゲン化物のガス
  • 酸化性ガス(オゾン・NOxなど)

シリコーン化合物は、ヘアスプレーやシリコーン系接着剤などに使用されています。タバコの煙に含まれる粒子状の高濃度タールなど、住宅やオフィスで発生しやすいニオイ物質も含まれている点に注意しましょう。

まとめ

ニオイセンサーを使用するとニオイを数値化でき、ニオイの有無や強さを測定できます。異常を検知したり、環境に影響を与えるニオイが発生していないかを調べたりする際に効果的です。

ただし、ニオイセンサーではニオイの種類までは特定できず、悪臭もよい香りもともに数値として表示されます。また、ガス検知器としての使用はできないため注意が必要です。ニオイセンサーやガス検知器はレンタルも可能なので、ニーズに適した機械をその都度使用しましょう。

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