LAeq(等価騒音レベル)とは?基準値と計測方法も解説

特定の工場では、環境省によって定められた基準以下に騒音レベルを維持する必要があります。騒音の指標として使われるのがLAeq(等価騒音レベル)ですが、計算で導こうとするとかなりの手間がかかるため、一般的には騒音計を用いて計測します。

当記事では、LAeq(等価騒音レベル)の説明とともに、定められている環境基準値や騒音レベルの測定方法を解説します。騒音レベルを正しく計測したい方はぜひ当記事を参考にしてください。

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1.LAeq(等価騒音レベル)とは?

LAeq(等価騒音レベル)とは、時間経過によって不規則かつ大きく変動する騒音レベルを測定し、実測時間内における音エネルギーの平均値を算出したものです。「Equivalent continuous A-weighted sound pressure Level」の略で、単位はデシベル(db)が使われます。

「A-weighted」はA特性を指しています。A特性とは、人間が聴覚可能な周波数に対して重み付けをして、騒音レベルを評価することです。

人間の耳は1000Hz前後の周波数でもっとも感度が高く、1000Hz前後から大きく外れた周波数では感度が低くなる傾向があります。A特性での周波数重み付けをすることにより、人間の聴覚に合った基準で騒音レベルを評価できる点がLAeqの特徴です。

LAeqは、工場や工事現場などにおける騒音評価指標として広く使われています。

1-1.その他の騒音レベル

LAeqの他にも、騒音レベルを評価する指標としては下記の4つが使われています。なお、単位はいずれもデシベル(db)です。

・単発騒音曝露レベル

単発的に発生する騒音の測定を目的として、騒音の全エネルギーと同じエネルギーを持つ、定常音の騒音レベルを表したものです。交通量がまばらな道路での交通騒音測定などに用いられます。

・時間率騒音レベル

騒音レベルが特定の数値以上である時間が、実測時間内の何%であるかを表す指標です。測定した騒音レベルを一定間隔ごとにサンプリングして、騒音レベルを測定値とした累積百分率曲線を作り、騒音レベルの時間率を求めます。実際の評価では、グラフの上下を5%ずつカットした90%レンジ内を信頼性の高い数値として扱います。

・最大騒音レベル

実測時間内における、騒音レベルのピーク値を表す指標です。測定した騒音レベルをグラフ化し、騒音レベルが最大量に達した状態を最大騒音レベルとします。また、騒音レベルが最小の状態は最小騒音レベルと呼ばれます。

・振動レベル

人体が感じる振動の強さを表す指標です。振動のエネルギーを表す振動加速度レベルに、人間が振動を受けたときの感覚に対応した振動感覚補正を加えることで求めます。

2.LAeq(等価騒音レベル)の基準値

騒音レベルは環境省によって基準値が定められています。環境騒音の評価手法としては等価騒音レベルが用いられており、等価騒音レベルで評価した騒音レベルは基準値を下回っていなければなりません。

出典:環境省「騒音に係る環境基準について」

出典:環境省「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」

騒音レベルの主な基準値である「環境基準」「特定工場等の基準」について解説します。

2-1.環境基準

環境基準は、環境基本法において、人の健康の保護と生活環境の保全をする上で維持されることが望ましいとされている基準です。

騒音にかかわる環境基準では、地域の類型および時間の区分ごとに、下記の表に掲げる数値を基準値としています。

地域の類型 基準値
昼間 夜間
特に静穏が必要な地域 50db以下 40db以下
住居専用の地域 55db以下 45db以下
うち、2車線以上の道路に面する地域 60db以下 55db以下
主に住居用で使われる地域 55db以下 45db以下
うち、2車線以上の道路に面する地域 65db以下 60db以下
相当数の住居とあわせて商業・工業用にも使われる地域 60db以下 50db以下
うち、車線を有する道路に面する地域 65db以下 60db以下

また、幹線交通を担う道路に近接している空間については特例が設けられており、昼間は70db以下、夜間は65db以下が基準値です。

地域の類型で提示されている各地域は、各自治体が該当する地域を指定する形を取っています。

出典:環境省「騒音に係る環境基準について」

2-2.特定工場等の基準

特定工場等の基準は、特定施設を設置した工場もしくは事業場で発生する騒音レベルについて、敷地の境界線における許容限度を定めた基準です。

なお特定施設とは、金属加工機械・穀物用製粉機・建設機械などの著しい騒音・振動を発生させる施設を指します。

特定工場等における騒音レベルの基準は、下記の表の通りです。

区域区分 時間区分
朝・夕 昼間 夜間
第1種区域 45db以下 50db以下 45db以下
第2種区域 50db以下 60db以下 50db以下
第3種区域 65db以下 65db以下 55db以下
第4種区域 70db以下 70db以下 65db以下

区域区分は4つに分けられており、3つの時間区分に合わせて基準値が変動する点が特徴です。

第1種~第4種区域の区域区分は、各都道府県知事が用途地域の定めなどで対応する地域を指定する形を取っています。

出典:環境省「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」

出典:環境省「騒音規制法の一部を改正する法律の施行について」

3.LAeq(等価騒音レベル)の測定方法

LAeqの測定方法としては、「計算で導き出す方法」「測定器を使用する方法」の2種類があります。騒音レベルが基準値を下回っているかを確認するには、LAeqを正確に測定する必要があるため、適切な方法を選択しましょう。

2つの測定方法について、特徴や手順などを解説します。

3-1.計算で導き出す方法

LAeqは計算で導き出すことができますが、計算式は非常に複雑です。計算式に対数や総和記号が含まれているため、正しく計算するには数学や物理の知識が必要です。

近年では、騒音レベルを入れるとLAeqをすぐに自動計算してくれるソフトが登場しています。LAeqを計算で導き出したい場合は自動計算ソフトの利用がおすすめです。

3-2.測定器を使用する方法

LAeqを測定する際は、一般的に測定器を使用する方法が用いられています。LAeqの測定で用いる測定器とは「騒音計」のことです。

騒音計は何でもよいわけではなく、計量法第71条で定める条件に合格し、かつJIS C 1509-1の仕様に適合している機種を使用する必要があります。騒音計は性能の違いによって「普通騒音計」「精密騒音計」の2種類があるものの、騒音レベルの測定ではどちらを使用しても問題ありません。

また、すべての機種でLAeqの測定ができるとは限らない点にも注意が必要です。LAeqの測定を目的とする場合は、LAeqの測定機能が付属している機器を選びましょう。

最後に、普通騒音計でLAeqを測定するときの操作手順を紹介します。

1 騒音計に電池を入れて三脚に取り付け、測定地点に設置する
2 電源を入れて、測定モードをLAeqに切り替える
3 測定時間の設定を、測定したい時間の長さに合わせる
4 スタートボタンを押して測定開始し、測定が終了するまで待つ
5 測定終了後、画面上に表示される測定結果を記録する
6 すべての測定地点で測定・記録を終えた後は、騒音計の電源を切る

LAeqの測定に用いる騒音計は、購入する以外にレンタルする方法もあるため、使用頻度が少ない場合はレンタルを利用してもよいでしょう。

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まとめ

LAeqとは等価騒音レベルであり、工場や工事現場での騒音を計測する際の指標としても使われています。問題のない生活環境を保つための環境基準と特定の工場で使われる基準があり、定められた騒音レベル以下を保つ必要があります。LAeqの計測時は、計測器を使用すると簡単に行えます。

騒音計をレンタルする場合は、ぜひソーキにお問い合わせください。普通騒音計だけでなく、精密騒音計の取り扱いもあり、さまざまな音響計測に使用できます。

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