検相器の正しい使い方とは?低圧・高圧の使用手順や測定原理・注意点
三相交流を使用する設備では、配線後に相順が正しいかを確認することが重要です。相順を誤ると、モーターが想定とは反対方向に回転し、設備の故障や事故につながるおそれがあります。この相順を確認するために使用する測定器が検相器です。
検相器には、被覆電線を挟んで測定する非接触式や、プローブを導体へ直接当てる接触式などがあります。機種によって測定方法や対応する電圧、使用できる電線も異なるため、仕様に合った方法で使用しなければなりません。当記事では、低圧・高圧検相器の具体的な使用手順をはじめ、検相器の仕組みや検電器との違い、安全に使用するための注意点を解説します。
1.検相器の正しい使い方
ソーキが取り扱う日置電機「PD3259-50」と長谷川電機工業の光ファイバー高圧検相器をもとに、低圧・高圧それぞれの検相器の正しい使い方を解説します。
1-1.低圧検相器(PD3259-50)を使う手順
低圧検相器(PD3259-50)は、被覆電線を挟むだけで三相電路の相順と線間電圧を確認できる低圧用の電圧計付検相器です。使用前に本体やケーブルを点検し、次の手順で測定します。
| 1 | 本体やケーブルに破損・ひび割れがないか、電池残量や起動時の表示に異常がないかを確認し、電源を入れます。 |
|---|---|
| 2 | 相表示や回路図を確認し、第1相・第2相・第3相に、それぞれ電圧センサR(1)・S(2)・T(3)を取り付けます。被覆電線はセンサの目印に合わせて確実に挟みます。 |
| 3 | Fnキーで検相画面を表示し、判定結果を確認します。正相では黄緑色のバックライトと断続音、逆相では赤色のバックライトと連続音で通知されます。 |
| 4 | 判定を確認したら電圧センサを電線から外し、電源を切ります。 |
測定中は感電事故を防ぐため、電圧センサのバリアより先に触れないでください。また、シールド電線は測定できません。
1-2.高圧検相器(光ファイバー高圧検相器)を使う手順
光ファイバー高圧検相器は、受信側(P1)と送信側(P2)を光ファイバーで接続し、高圧三相線路の相回転を確認する機器です。使用前に動作確認を行い、次の手順で測定します。
| 1 | 切替スイッチを「相回転」に合わせ、三相線路をA・B・Cと仮定します。 |
|---|---|
| 2 | 受信側(P1)をA相に接触させ、発音・発光することを確認します。続いて送信側(P2)をB相に接触させ、P2の発光を確認した上で、P1の発音・発光の有無を確認します。 |
| 3 | 同じ手順でB-C相、C-A相についても順番に確認します。 |
| 4 | A-B、B-C、C-AのすべてでP1の発音・発光がなければ正回転、発音・発光があれば逆回転と判定します。 |
相回転中に発音・発光が連続した場合は、接触している2相が同相のため、相を確認してください。高圧線路で使用する際は、取扱説明書に従い、高圧絶縁手袋など必要な保護具を着用します。
2.検相器とは?
検相器は、三相交流電源の相順(相回転)が正しいかを確認するための測定器です。三相交流ではR・S・Tの3相に順序があり、正しい相順を「正相」、反対の相順を「逆相」と呼びます。モーターなどの三相機器は、相順を誤ると想定とは反対方向に回転する場合があります。そのため、設備の設置や配線工事、保守点検などでは、運転前に検相器で相順を確認します。電気設備の接続状態を確認し、安全な運転につなげるために使用される測定器です。
2-1.検相器と検電器の違い
検相器と検電器は、どちらも電気設備の点検に使う測定器ですが、確認する対象が異なります。検相器は、三相交流電源の相順を確認し、正相・逆相を判別するための機器です。モーターの回転方向や配線ミスの確認に用いられます。
一方、検電器は、電線や端子などに電圧がかかっているかを確認する機器です。作業前の通電確認や停電確認などに使用します。つまり、検相器は「相の順番」、検電器は「電圧の有無」を確認する点が大きな違いです。
3.検相器が相順を判定する原理
検相器には、被覆電線の上から測定する非接触式と、プローブを導体に当てる接触式があります。非接触式は静電誘導で各相の電圧を検出し、接触式は導体から電圧を取り込み、三相の位相を比較して相順を判定します。ここでは、両方式の原理を解説します。
接触式・非接触式の検相器の違い
| 方式 | 測定部の形状 | 当てる場所 | 向いている場面 | 注意する点 |
|---|---|---|---|---|
| 接触式 | プローブ | 活線部分に直接当てる | 動力コンセントや端子台など狭い部分 | 活線に近づく上、3本とも接触させる必要がある |
| 非接触式 | 絶縁されたクリップ | 電力ケーブルを被覆の上から挟む | 盤内で活線に近づかずに測りたいとき | 挟む部分がない動力コンセントでは使えない |
3-1.非接触式は静電誘導で電圧の波形をとらえる
非接触式の検相器は、静電誘導を利用して被覆電線の上から各相の電圧を検出します。活線電路とクリップ、検相器本体、人体、大地が静電的に結合すると微小な電流が流れ、その電流によって内部の高抵抗に生じる電圧から、対地間電圧に応じた波形を取得します。
三相それぞれの電圧波形を取得し、位相のずれを比較することで相順を判定する仕組みです。非接触式は電線をクリップで挟むだけで取り付けやすく、端子などの充電部へ直接触れずに測定できます。そのため、被覆電線を安全かつ手軽に検相したい場面に適しています。
3-2.接触式はプローブを導体に当てて位相を比較する
接触式の検相器は、3本のプローブを三相それぞれの導体や端子に直接接触させ、各相の電圧の位相関係を比較して相順を判定します。非接触式のように被覆電線を挟む方式とは異なり、活線部分へ直接プローブを当てる必要があります。
一方で、動力コンセントの差込口や端子台など、クリップで電線を挟みにくい狭い場所でも測定しやすい点が特徴です。バックスタッド式ブレーカーでも、表面の端子部にプローブを当てて測定できます。活線に近づいて3本すべてを接触させるため、測定時は感電や短絡に十分注意する必要があります。
4.検相器を使用する際の注意点
検相器を安全かつ正確に使用するには、測定対象に合った定格電圧や機種の仕様を確認することが重要です。作業時は絶縁用保護具を着用し、測定できない電線やケーブルの種類にも注意しましょう。ここでは、使用時の主な注意点を解説します。
4-1.定格の電圧範囲を超える電路では使用しない
検相器には機種ごとに使用できる電圧範囲が定められているため、測定前に必ず仕様を確認しましょう。たとえば、光ファイバー高圧検相器はHPI-A6が3~7kV、HPI-S6が6.6kVに対応しています。定格電圧を超える電路で使用すると、機器の故障や感電につながるおそれがあります。また、電圧が低すぎる場合も正しく検出できないことがあるため、測定対象の電圧が機器の使用範囲内かを事前に確認することが重要です。
4-2.絶縁用保護具を着用して作業する
検相器は活線に接近して使用するため、感電を防ぐための保護具を適切に着用して作業しましょう。特に光ファイバー高圧検相器では、絶縁棒を使用せずに検電・検相を行う場合、高圧絶縁手袋を着用するよう取扱説明書で定められています。また、測定時は本体の握り部を持ち、握り部以外には触れないことが重要です。使用する検相器や電路の電圧に応じて必要な絶縁用保護具を確認し、作業前には本体や保護具に損傷がないかも点検して、安全な状態で測定を行いましょう。
4-3.一部機種は金属バーやシールドケーブルでは測定できない
検相器は、機種によって測定できる電線や導体が異なります。たとえば、非接触式のPD3129・PD3129-10は測定対象が被覆電線に限られ、裸導線やブスバー、シールド線には使用できません。一方、PD3259-50は金属部を測定できますが、シールド電線には対応していません。対応外の対象では正しく測定できないため、使用前に取扱説明書で測定対象や接続可能な導体径などを確認し、対象に合った機種を使用しましょう。
まとめ
検相器は、三相交流電源の相順を確認し、正相・逆相を判別するための測定器です。低圧用のPD3259-50では、各相に電圧センサを取り付けて表示や音で判定し、光ファイバー高圧検相器では受信側と送信側を各相に接触させて相回転を確認します。
検相器には接触式と非接触式があり、測定場所や対象に応じた使い分けが必要です。また、機種ごとに使用できる電圧範囲や電線の種類が異なります。測定前には取扱説明書や仕様を確認し、必要な絶縁用保護具を着用した上で、安全な手順に沿って使用しましょう。

















