濁度とは?単位や計測した際の基準値についても解説

水質を確認するときは、濁度計を用いて水の濁り具合を計測する必要があります。しかし、濁度とはどのように計測しているのか、その方式の濁度計を使用すればよいのか分からないという方もいるでしょう。

当記事では濁度とは何か、基本的な解説とともに濁度を計測する必要性や濁度の測定方式を解説します。濁度測定が必要な方や、濁度計の購入を検討中の方はぜひ当記事を参考にしてください。

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1. 濁度とは?

濁度とは、水の濁り度合いを表す指標です。

通常の水中には土砂や微生物、溶解物質などが存在していて、水の濁りの原因となっています。水中に存在する浮遊物質の総量が多いほど、水本来の透明度は失われて、濁度が高くなる点が特徴です。

濁度の測定には「濁度計」と呼ばれる専用の計測機器が用いられます。

 

1-1. 濁度の種類

濁度は、濁度計の校正に使用する標準液の違いによって下記の3種類に分けられます。

なお、濁度計の校正とは、標準液の濁度に合わせて濁度計の測定値を修正する作業のことです。

  • カオリン標準液を使用した濁度
    カオリン標準液は、精製水1L中にカオリン(白陶土)1mgを加えたときの濁度を1度とする標準液です。濁度の単位は「度(カオリン)」、もしくは「mg/L」で表されます。
  • ホルマジン標準液を使用した濁度
    ホルマジン標準液は、精製水1L中にホルマジン1mgを溶かしたときの濁度を1度とする標準液です。濁度の単位は「度(ホルマジン)」、もしくはFTUやNTUで表されます。
  • 混和ポリスチレン標準液を使用した濁度
    混和ポリスチレン標準液は、ポリスチレンラテックスを用いた懸濁液により濁度計の校正を行う標準液です。混和ポリスチレン標準液の指示値はカオリン標準液に相当し、濁度の単位は「度(混和ポリスチレン)」で表されます。

濁度の単位はそれぞれ「度」で表されるものの、使用する標準液によって度の指示値は異なるため、標準液の違いも含めて単位を明確にすることが大切です。

 

1-2. 濁度の基準

濁度の基準としては、水道法第4条の規定にもとづく「水道水質基準」がよく知られています。水道水質基準は、水道水が備えるべき各種要件を定めた基準です。

水道水質基準では、水道水の濁度は2度以下でなければなりません。

また、より質の高い水道水の供給を目的として定められた「快適水質項目」では、給水栓で1度以下、送配水施設入口で0.1度以下の濁度にすることが求められています。

なお、水道水質基準における濁度計の校正用として、カオリン標準液よりも安定性があり、校正値の信頼性・再現性が高い混和ポリスチレン標準液を使用します。

出典:厚生労働省「水道法第4条に基づく水質基準」

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2. 濁度の計測はなぜ必要?

濁度は液体中に存在する浮遊物質の量と関係があり、濁度が高いほど浮遊物質の総量は多くなる傾向があります。浮遊物質は表面に付着した栄養塩類が細菌の増殖を活発にしたり、消毒成分から微生物を保護したりするため、水の汚染を防止するには濁度の計測が必要です。

濁度の計測が行える濁度計は、下記のような用途で使われています。

  • 工業排水に含まれる浮遊物質量の測定
  • 化学プロセスにおける濁度の検出
  • 有機膜ろ過処理による懸濁性物質除去の監視
  • 浄水場での原水やろ過水の濁度測定
  • 給配水設備の濁度管理
    など

濁度計は浄水処理を行う浄水場だけでなく、飲料製品工場や排水処理施設、培地を扱うラボなどでも活用されています。

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3. 濁度の測定方法

濁度計と一口に言っても、濁度の測定方法は製品ごとに違いがあります。測定方法によって測定液の色や浮遊物質の色・粒度による影響、測定の精度が異なるため、実施したい濁度測定の内容に合わせて適切な方法を選びましょう。

濁度の主な測定方法を5つ紹介します。

 

3-1. 透過散乱光方式

透過散乱光方式とは、測定液槽に入射した光を透過光と散乱光に分けてそれぞれを増幅し、透過光と散乱光の比率により濁度を算出する測定方法です。

測定液槽中の浮遊物質が増加すると、透過光は一定の減少傾向を示し、反対に散乱光は増加傾向を示します。両者の比率と、浮遊物質の濃度との比例関係を利用することにより、正確な濁度の測定が可能です。

透過散乱光方式の濁度計は、測定液の色や浮遊物質の粒径・粒度のバラつき、濁度計の窓部分の汚れがあっても、測定結果が影響を受けにくくなっています。連続測定に対応できる点も特徴です。

 

3-2. 表面散乱光方式

表面散乱光方式は、測定液面に光を当てて、液面からの散乱光を計測して濁度を算出する測定方法です。液面からの散乱光の強さと、測定液中の浮遊物質の濃度が比例する原理を利用しています。

表面散乱光方式の濁度計は液面の散乱光のみを測定するため、測定液に色がついている場合にも測定結果への影響がほとんど出ないのが特徴です。

測定液に接する窓がないことにより、窓部分の汚れが誤差原因にならない点もメリットです。

 

3-3. 積分球方式

積分球方式は、光源からの平行光線を測定液槽に入射・通過させて、光を積分球に取り込んで濁度を算出する測定方法です。

入射光は、平行光線のままの光と、浮遊物質に当たって散乱光線になった光に分かれて積分球に入ります。積分球内に設置された光電池で平行光線・散乱光線のそれぞれを検出し、両者の比率から濁度を算出する仕組みです。

高精度測定が可能なものの、計測時には光出口の白板トラップとライトトラップを入れ替える手間がかかるため、一般的に試験室での測定に使われています。

 

3-4. 透過光測定方式

透過光測定方式は、測定液槽の片側から光を当てて、反対側に通過する透過光を計測することで濁度を算出する測定方法です。水中の浮遊物質の濃度が高いほど透過光の量は減衰するため、透過光の吸光度から濁度の算出をしています。

透過光測定方式は基本的な濁度の測定方法であり、浮遊物質の濃度が高い測定液にも使えます。

ただし、測定液に色がついていたり、気泡があったりすると測定値が変動しやすい点がデメリットです。水の色や浮遊物質のサイズにバラつきがある河川・湖沼のような環境測定用には適していません。

 

3-5. 散乱光測定方式

散乱光測定方式は、測定液槽に光を当てて、測定液中で生じる散乱光のみを計測することで濁度を算出する測定方法です。

散乱光の強度が浮遊物質の濃度との比例関係にある点を利用して、濁度の算出をしています。平行に通過する透過光の影響を避けるために、直角方向での散乱光の計測を一般的に行い、前方・後方での散乱光の計測を行う方法もあります。

散乱光測定方式は水の色による影響は受けにくいものの、浮遊物質が高濃度である場合や、浮遊物質が光を吸収する色である場合は、正確な測定ができない可能性があります。

 

4. 濁度計はレンタルも可能!

濁度計を利用するには、機器本体を購入する以外にもレンタルするという方法もあります。

濁度計をレンタルで利用すると、機器本体を購入する場合よりも費用を抑えられる点がメリットです。機器を使うタイミングでのみレンタルすればよく、機器のメンテナンスや精度維持管理はレンタル会社側に任せられて維持費用も抑えられます。

また、濁度計をさまざまな用途で使う場合、用途に適した測定方法に対応できる濁度計を用意しなければなりません。レンタルであれば適切な濁度計を選べるため、用途に合わせた使い分けができます。

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まとめ

濁度とは、水の濁り具合を示す重要な指標です。水質を確認する際に計測する必要があり、透過散乱光方式や散乱光測定方式など、濁度計ごとに適した場面が異なります。計測するシチュエーションを考えながら、目的に合った濁度計を選びましょう。

濁度計はレンタルも可能です。もし、計測する期間が短い場合やさまざまな用途で用いる場合は、コストを抑えるためにレンタルでの使用も検討しましょう。

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