照度とは?必要な明るさの基準や輝度との違いを簡単に解説

照度とは、光の明るさを表す単位の1つで、単位面積当たりの光量を指し示します。職場や工場の環境を整備したい方や、新設を計画している方の中には、照度という言葉を目にし、どのような基準でどのように検討すればよいか悩んでいる方もいるでしょう。

この記事では、照度以外の光を測定する単位との違いを交えながら、照度の基準を詳しく解説します。照度を測定する「照度計」を選ぶ際のポイントにも触れるため、ぜひ参考にしてください。

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1. 照度とは?

照度とは、光が当たっている表面において、その場所の単位面積当たりにどのくらいの量の光が当たっているかを示す指標を指します。

光は電磁波の一種であり、人間が光として明るさを感じるのは、波長が380~780nmの範囲の光(可視光線)です。人間の目は、同じエネルギー量の光でも波長によって明暗の感じ方が異なり、555nmの黄緑色の光に対して感度が最大になります。最大感度を1として各波長の感度を表したものを視感度といい、照度は波長ごとの視感度で評価されます。

人間が快適に過ごすためには、生活環境の明るさを適切に調節することが大切です。職場や工場などでも適切な照度を検討し、安全性の確保や作業効率の向上、従業員のモチベーションアップを図りましょう。

1-1. 照度と輝度の違い

輝度とは、光源自体の光やその反射光について、ある方向から光を観測した人間が、どの程度明るく感じるかを数値化した度合いのことです。光源(光源面)からの光やその反射光の単位面積・単位体積当たりの光の量を表しており、光が観測視点(人間の目)にどの程度届いているかを示しています。

一方、照度は「平面状の物体にどのくらいの量の光が到達しているか」を示します。例えば、職場や工場などの作業机を明るく照らしたい場合は、机上面に到達する光の量を示す照度を参考にするとよいでしょう。

また、作業空間の照明環境を考える際には、照明自体の明るさだけでなく、壁・床・机など受光面で反射した光の明るさも考える必要があります。過剰な輝度(グレア)とならないよう、屋内照明基準や屋内統一グレア評価値(UGR法)なども参考に、不快感を抱かない光環境を検討してみましょう。

1-2. 光を計測するときの単位

光の明るさを表す単位には主に「照度」「光度」「光束」「輝度」があり、互いに密接に関係しています。これらの単位は「明るさを表す指標」として混同されやすいため、違いを簡単に理解しておきましょう。

◆光の明るさを計測するときの単位

単位 単位の記号 単位の意味・概要
照度 ルクス(lx)
  • 光源の光が当たる面の明るさ(単位面積当たりの光束量)
  • 1ルクス=1平方メートルの平面に1ルーメンの光束が当たるときの照度
光度 カンデラ(cd)
※国際単位系
  • 光源からある方向へ放射される光の強さ
  • 1カンデラ=一般的なロウソク1本の明るさと同程度の光の強さ
光束 ルーメン(lm)
  • 光源から放射される光の総量(光源全体の明るさ)
  • 1ルーメン=1カンデラの光源が一定の立体角内(1ステラジアン)に放出する光束
輝度 カンデラ毎平方メートル
(cd/m2)
  • 光源から放出される単位面積当たりの光の強さ(光源を見たときのまぶしさ)

2. 決められている照度の基準は?

職場や工場において、作業に必要な明るさを確保し、快適性の高い空間を整えるためには、法律や規格に基づいて適切な照度を検討することが大切です。日本産業規格(JIS)で定められている照度の基準値などを参考に、自社の視環境・照明環境について考えてみましょう。

◆工場

照度(lx) 場所 作業
1500~3000 制御室などの計器盤・制御盤 精密機械や電子部品の製造、印刷工場などでの極めて細かく精度が求められる視作業
750~1500 設計室・製図室 繊維工場での選別、印刷工場での校正、化学工場での分析・検査など細かい視作業
300~750 制御室 一般の製造工程における普通の視作業
150~300 電気室・空調機械室 限定的な作業・包装、荷造りなどの粗な視作業
70~150 出入口・通路・廊下・階段・トイレ・洗面所・作業を伴う倉庫 限定的な作業・包装、荷造りなどのごく粗な視作業
30~70 屋内の非常階段・倉庫・屋外施設(動力設備など) 荷物の積み下ろし、移動などの作業
10~30 屋外

◆事務所

照度(lx) 場所
500~750 事務室・役員室・玄関ホール
300~500 会議室・制御室
200~300 受付・パウダールーム・エレベーターホール
150~200 書庫・更衣室・トイレ・洗面所
100~150 階段・エスカレーター
75~100 休憩室・廊下
~75 屋内の非常階段

なお、事務所における屋内照明の照度基準は、厚生労働省が定める「労働衛生基準」でも決められています。一般的な事務作業では300ルクス以上、資料の袋詰めなど資料を細かく識別する必要がない事務作業では150ルクス以上を確保するようにしましょう。

◆学校(屋内)

照度(lx) 場所 作業
1500~750 製図室・被服教室・コンピューター室 精密な製図・ミシン縫い・美術工芸の製作・精密な実験・タイピング
300~750 教室・実験室・実習室・図書室・書庫・教職員室・保健室・放送室・印刷室・事務室
200~300 集会室・講堂・ロッカー室・昇降口・廊下・階段・トイレ・洗面所・渡り廊下
75~200
30~75 倉庫・非常階段

職場の照度を考える際には、上記の目安を参考にして、基準を上回るように照明器具を設置することが大切です。作業内容も考慮した上で、適切な照度を確保できる照明器具を選びましょう。

3. 照度計を選ぶときのチェックポイント

照度の大きさは、照度計(ルクスメーター・ルクス計)を利用することで測定できます。照度計にはさまざまな種類があるため、下記のようなチェックポイントをふまえた上で、用途に合った機器を選ぶようにしましょう。

◆照度計を選ぶ際のポイント

  • アナログかデジタルか
  • 測定範囲
  • 搭載している機能
  • 精度

ここでは、上記の4つのポイントについて詳しく解説します。購入する前に使い勝手を確認したい方は、照度計のレンタルもおすすめです。下記のサイトをぜひ参考にしてください。

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3-1. アナログかデジタルか

照度計には「アナログ式」「デジタル一体式」「デジタルセパレート式」の3つのタイプがあります。

シンプルな設計のアナログ式は、簡易的な点検に適しています。消費電力を抑えて使用できるため、特定の場所の照度を定期的に計測することにも向いています。アナログ式の多くは、「低照度」「中照度」「高照度」と測定可能な範囲によって機種が分かれていることに注意しましょう。

デジタル式の照度計は、温度や湿度など照度以外のデータを測定できる機種もあるため、職場環境に関するデータをまとめて調べたい方に向いています。一体式は照度計を初めて使用する方でも扱いやすく、安心して利用できるでしょう。セパレート式は受光部と本体が離れているので、高いところや離れた場所の測定に便利です。

3-2. 測定範囲

照度計の測定可能範囲が、使用する目的に合っているか確認しておくことも重要です。

一般的な事務所や学校などで使用する場合は、2000ルクス程度まで測定できるものを選ぶとよいでしょう。精密な視作業が求められる工場などでは、3000ルクス以上まで測定できる照度計がおすすめです。

3-3. 搭載している機能

デジタル式の照度計の場合、照度の測定以外の機能を搭載している製品も少なくありません。代表的な機能として次のようなものがあるので、照度計を選ぶ際の参考にしてください。

◆照度計に搭載される代表的な機能

機能の概要・メリット
ホールド機能 受光部を移動させても、測定時の数値をキープできる
オートレンジ機能 測定範囲の設定を、照明環境に適した測定範囲へと自動的に合わせてくれる
記録機能 複数の測定結果を残せるため、数値を効率よく記録できる

3-4. 精度

照度をより高い精度で測定したい場合は、JIS規格に準拠した照度計を選ぶとよいでしょう。

照度計は精度の違いによって「精密級」「AA級」「A級」と分かれています。研究室レベルの精度を求める方は精密級、適合性評価などの測定に活用したい方はAA級の照度計がおすすめです。「内装・インテリアを検討するため、オフィス空間の明るさをおおまかに測定したい」といったように、一般的な測定を行う場合はA級でも十分に対応できるでしょう。

まとめ

職場や工場などの作業机に到達する光の量について考慮する場合、照度は非常に重要な指標となります。照度は日本産業規格(JIS)で工場・事務所・学校など場所によって定められているので、参考にするとよいでしょう。

照度を測定する際は、照度計を使用することが一般的です。アナログ・デジタルなどの測定方式に加え、一体型かセパレート型などの違いがあるため、場面に適した機材を選ぶとよいでしょう。一時的な使用のみで購入をためらわれている場合はレンタルするという方法もあります。

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