ゲリラ豪雨とは?原因や工場・倉庫向けの対策方法を簡単に解説
ゲリラ豪雨は、突然の激しい雨によって短時間で大きな被害をもたらす気象現象です。特に工場や倉庫などの施設では、浸水や設備の損壊、在庫品への被害など、事業継続に深刻な影響をおよぼす可能性があります。予測が難しいと言われるゲリラ豪雨ですが、事前の準備と適切な対応策を講じることで、被害を最小限に抑えることが可能です。
この記事では、ゲリラ豪雨の原因や発生の仕組み、工場・倉庫が取るべき具体的な対策方法について解説します。従業員の安全を守り、事業を継続する方法を知りたい方は、ぜひご一読ください。
1. ゲリラ豪雨とは
ゲリラ豪雨とは、短時間で局地的に降る非常に激しい雨のことです。突発的に発生するため事前予測が難しく、「ゲリラ」の奇襲攻撃を連想して使われるようになりました。しかし、これは正式な気象用語ではなく、あくまでメディアなどで広く使用されている言葉にすぎません。気象庁では「局地的大雨」や「集中豪雨」といった表現を用いて説明するのが基本です。
ゲリラ豪雨は、数十分程度で数十mm以上の雨水が狭い範囲に降るため、急激な河川の増水や浸水被害を引き起こすことがあります。特に都市部では排水能力を超える雨量が原因で、道路冠水や下水道の逆流などが発生しやすく、被害が拡大するケースが少なくありません。
また、局地的な現象のため、ある場所では土砂降りになっていても、少し離れた場所ではまったく雨が降らないこともあります。このような特性から、事前に対策を講じていなければ、予測困難な大雨により重大な被害を招く危険性の高い気象現象です。
1-1. ゲリラ豪雨が発生する原因・仕組み
ゲリラ豪雨が発生する主な原因は、積乱雲です。地表面で温められた空気と上空の空気との温度差が大きくなると、上昇気流が発生します。この上昇気流によって水分を多く含んだ空気が上空に運ばれ、そこで冷やされると雲となり、さらに湿った空気が送り続けられればそのまま積乱雲へ発達します。
通常の積乱雲は数十分~1時間程度で消滅し、いわゆる「にわか雨」程度の雨量しかありません。しかし、地形や気象などの条件が重なると、積乱雲が急速に大きく発達したり、同じ場所に積乱雲が次々と発生したりする場合があり、これがゲリラ豪雨を引き起こします。また、強い雨だけでなく、雷や突風、ひょうなどを伴うケースも珍しくありません。
特に、地表面が急速に熱せられて上空との気温差が大きくなりやすい、夏場や日差しが強い日に発生することの多い現象です。ヒートアイランド現象が起きる都市部では、特に積乱雲がスーパーセルと呼ばれる超巨大積乱雲へと成長するため、ゲリラ豪雨の頻度が増えやすい傾向があります。
1-2. ゲリラ豪雨が起きる前兆
ゲリラ豪雨は予測が難しいと言われますが、以下のような前兆が見られる場合があるため、警戒は可能です。
- 空にモクモクとした入道雲が現れる
- 空が急に暗くなる
- 雷鳴が聞こえる
- 冷たい風が吹き始める
- 雨のにおいが漂う
- 唐突にセミが鳴き止む
特に辺りが急に暗くなり、雷鳴が聞こえたときには、雨が間近に迫っている可能性が高くなります。また、急に冷たい風が吹き始めた場合も、積乱雲によって引き起こされる大雨や雷雨がすぐに降り出すサインと言えるでしょう。
急変する天候に備えて、迅速に避難や安全確保の準備を行うことが重要です。天気予報で「大気の状態が不安定」と言われた日は、いつもよりも周囲の変化を気にするようにしましょう。
2. ゲリラ豪雨が工場や倉庫に与える被害
2023年における日本の水害被害額は、6,800億円にもおよびました。
出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「水害統計調査 / 令和5年水害統計調査 / 令和5年の水害被害」
水害は日本において大きなリスクであり、ひとたびゲリラ豪雨に直面すれば、工場施設や倉庫も以下のような被害に遭う可能性があります。
- 人的被害
ゲリラ豪雨による急激な増水や洪水は、従業員の命に関わる場合があります。特に勤務時間中に被害が発生した場合、労災問題にも発展しかねません。 - 浸水による生産停止
豪雨による浸水で、生産ラインが停止する場合もあります。浸水が機械設備におよべば修理が必要となり、その間の生産停止によって納品の遅れや機会損失が生じます。 - データの破損
OA機器の故障や電気系統のトラブルもリスクの1つです。契約書や製品の設計図などの重要なデータが消失すれば、業務に重大な影響を与えます。 - 在庫品への被害
倉庫に保管されている製品への浸水被害も甚大です。特に食品や医薬品のような衛生管理が求められる製品は、即座に廃棄せざるを得ません。 - 設備の損壊
激しい雨風で、工場や倉庫の設備が損壊する可能性があります。天井や壁の破損から雨漏りが発生すれば、機器や設備の腐食や劣化を引き起こしかねません。
これらの被害を防ぐためには、早めの避難計画や日常的な点検が重要です。
3. ゲリラ豪雨による被害を抑えるための対策方法
ゲリラ豪雨は、すべての地域で起こり得ます。しかし、適切な防災対策を講じておけば、被害を最小限に抑えて事業の継続・再起を図れるでしょう。以下では、工場や倉庫が事前にできるゲリラ豪雨対策方法を4つ紹介します。
3-1. ハザードマップを確認する
まず、工場や倉庫のある地域の水害リスクを把握するために、ハザードマップを確認しましょう。ハザードマップは、自治体や国土交通省が提供しており、地域ごとの浸水や洪水、土砂災害などのリスクを視覚的に確認できます。
過去の水害履歴や危険エリアを確認し、建物の浸水リスクを事前に予測しておけば、建物の耐水対策や設備の配置移動、災害発生時の行動計画などを立てられます。同時に、従業員が避難する際の経路や安全な避難場所を事前に確認し、全員で共有しておくのも大切です。
3-2. BCPを策定する
BCP(事業継続計画)は、災害時でも企業活動を継続または早期に復旧させるための計画です。ゲリラ豪雨のような突然の災害による被害を想定して事前にBCPを策定し、対応策を講じておけば、被害の影響を最小限に抑えられます。
たとえば、工場設備が被害を受けた場合を見越して代替の生産拠点を確保したり、データのバックアップ体制を整備したりするなどの方法があります。また、重要な設備の配置を見直し、地面から離したり浸水のリスクが少ない場所に移動させたりするのもよいでしょう。こうした準備を事前に進めておけば、被災後の事業再開がスムーズになります。
3-3. 土嚢や止水パネルを用意する
工場や倉庫の浸水を防ぐには、自分たちで設置できる土嚢や止水パネルの利用が効果的です。工場の入り口や低地に面した危険箇所にこれらを設置することで、浸水被害の軽減が期待できます。土嚢は設置が簡単でコストも低い反面、持ち運びが大変で、隙間ができやすいという弱点があります。一方で、止水パネルは軽量で設置も簡単なため、より確実な浸水対策を求める場合には有効な手段です。
防水設備は定期的に点検し、必要に応じて交換や修理を行っておきましょう。また、雨漏り対策として窓や屋根のメンテナンスを定期的に行い、浸水のリスクを最小限に抑えるのも大切です。特に、大雨が予想される時期には事前点検を徹底する必要があります。
3-4. 定期的に水害対策訓練を行う
実際にゲリラ豪雨が発生した場合、迅速に対応するためには定期的な訓練が必要です。水害対策訓練を実施しておけば、緊急時にも従業員が落ち着いて対処できるようになります。特に、水害発生時の土嚢や止水パネルの置き場所や設置手順を事前に把握しておくことは、非常に重要です。
訓練では避難経路の確認も同時に行い、従業員の身の安全を確保するための準備を徹底しなければなりません。また、訓練を通じて各従業員の役割分担や情報伝達経路を明確にし、災害時にも混乱なく行動できる体制を整えておくことが肝要です。
4. ゲリラ豪雨発生時の判断に役立つ雨量計・水位計
ゲリラ豪雨による被害を最小限に抑えるためには、気象情報に敏感になるのはもちろん、雨量計や水位計を活用することが重要です。
雨量計で降水量をリアルタイムに測定しておけば、豪雨の進行状況を把握するのに役立ちます。特に「転倒ます型雨量計」は正確で長時間の監視が可能なため、多くの公共機関で使用されているタイプの雨量計です。
一方、水位計で河川や排水設備、水路の水位を監視すれば、氾濫のリスクを早期に検知できます。いずれも、水位が一定のレベルを超えた場合に警報を発するタイプなら、安全性はさらに高まります。
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まとめ
ゲリラ豪雨は発生の予測が困難な気象現象です。しかし、ハザードマップの確認やBCPの策定、土嚢・止水パネルの準備、定期的な水害対策訓練などの適切な対策を取れば、工場や倉庫に起きる被害を小さくできます。
従業員の安全確保と事業継続のために、普段からゲリラ豪雨をはじめとした災害対策を準備しておきましょう。また、ゲリラ豪雨が発生したときにすぐに行動できるように、雨量計や水位計を用意しておくのも大切です。
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