点群データとは?取得方法や導入のメリット・活用シーンを解説
建物や地形、設備などの形状を立体的に記録する方法として、建設・土木をはじめ幅広い分野で活用されているのが点群データです。一方で、「3Dモデルと何が違うのか」「どのように取得するのか」など、具体的な仕組みまでは分かりにくい方もいるでしょう。
当記事では、点群データの基本的な仕組みや含まれる情報を整理した上で、地上型3DレーザースキャナーやMMS、ドローンなどによる代表的な取得方法を解説します。
1.点群データとは?
点群データとは、建物や地形、道路、設備などの形状を、空間上に並ぶ膨大な数の「点」の集まりとして表現したデータです。対象物を計測して得られた多数の点を重ね合わせることで、現実の空間や物体の形を立体的に記録できます。点密度が高いほど曲面や凹凸などの細部を表現しやすくなりますが、再現性は計測精度や対象物へのレーザーの当たり方などにも左右されます。
建設・土木分野では、既存の建物や構造物、造成地などの現況をデジタル上に残し、測量や設計、施工管理などに利用されています。現地の状態を後から確認できる記録としても活用でき、従来は現場で確認していた形状や位置関係をパソコン上で把握することも可能です。近年はレーザースキャナーやドローンなど計測技術の普及により、さまざまな現場で活用が広がっています。
1-1.点群データと3Dモデルの違い
点群データと3Dモデルの大きな違いは、形状の表し方です。点群データは、レーザースキャナーなどで取得した対象物を無数の点の集合として表現したもので、点同士は基本的につながっていません。一方、3Dモデルは、点や線、面などを用いて物体の形状を立体として構成したデータです。
そのため、点群データは現況を計測した状態に近い情報として扱われるのに対し、3Dモデルは設計や編集、シミュレーションなどに利用しやすい形に加工されています。点群データは、そのまま活用されるだけでなく、3Dモデルを作成する際の元データとしても利用されます。たとえば、点群の点同士をつないで面を作るメッシュ化や、滑らかな曲面を作るサーフェス化によって、用途に合わせた3Dモデルへ変換できます。
1-2.点群データに含まれる情報
点群データには、対象物の形状や位置を表すための情報が含まれています。基本となるのは、各点が空間上のどこにあるかを示すX・Y・Zの3次元座標です。これらの座標が多数集まることで、建物や地形などの形を立体的に表現できます。また、取得方法によっては、各点にR・G・Bの色情報が付与され、実物に近い見た目で表示することも可能です。
レーザースキャナーで取得した場合は、レーザーが対象物に当たって戻ってきた際の反射強度が記録されることもあります。さらに、緯度・経度・標高などの位置情報や、点の表面方向を示す法線ベクトル、取得時刻などが含まれる場合もあります。すべての点群データが同じ情報を持つわけではなく、使用する機器や計測方法、用途によって付与される情報は異なります。
2.点群データの代表的な取得方法
点群データの代表的な取得方法には、地上型3Dレーザースキャナー、MMS、ドローン搭載型レーザースキャナー、空中写真測量の4つがあります。ここでは、それぞれの特徴を解説します。
2-1.地上型3Dレーザースキャナー
地上型3Dレーザースキャナーは、計測器を地面や三脚に設置し、機器を回転させながら周囲へレーザーを照射して点群データを取得する方法です。計測範囲は機種によって異なりますが、水平方向360°、鉛直方向270~300°程度を計測できる機種もあり、周囲の形状を短時間で高密度に記録できます。
ただし、1か所から計測できるのは機器から見える範囲に限られます。対象全体の点群を取得するには、スキャナーを移動させて複数地点から計測し、取得したデータを後から位置合わせして統合します。建設・土木測量など、対象物の形状を詳しく把握したい場面で利用されています。
2-2.MMS(Mobile Mapping System)
MMS(Mobile Mapping System)は、車両に3Dレーザースキャナーやデジタルカメラ、GNSSなどを搭載し、走行しながら道路や周辺の点群データを取得する方法です。GNSSとIMUを組み合わせることで、走行中の車両の位置や姿勢を把握しながら計測できます。
車両で移動しながら連続してデータを取得できるため、道路やトンネルなど距離の長い区間を効率よく点群化できるのが特徴です。道路形状や周辺構造物の現況把握に適しており、道路維持管理や高精度地図を作成する際の基礎データなどにも活用されています。
2-3.ドローン搭載型レーザースキャナー
ドローン搭載型レーザースキャナーは、小型のレーザースキャナーをドローンに搭載し、飛行しながら上空からレーザーを照射して点群データを取得する方法です。地形や構造物を高精度にスキャンでき、森林や複雑な地形の測量にも利用されています。
地上型3DレーザースキャナーやMMSでは計測しにくい場所でも、ドローンが飛行できる範囲であれば上空からデータを取得できる点が特徴です。そのため、人が立ち入りにくい場所や、地上からでは全体を捉えにくい広範囲の地形などを計測する方法として活用されています。
2-4.ドローンによる空中写真測量
ドローンによる空中写真測量は、レーザースキャナーを使わず、ドローンのカメラで撮影した複数の空中写真を解析して点群データを生成する方法です。さまざまな位置から撮影した画像をSfM処理し、共通する特徴点からカメラの位置や対象物の3次元形状を推定します。
SfMで生成される点群は低密度なため、さらにMVS処理を行って点を増やし、高密度な点群へ仕上げます。レーザースキャナーを搭載しなくても、可視光カメラによる空撮画像から点群を作成できることが特徴です。広範囲の地形把握や土量計算などに活用されています。
3.点群データを導入するメリット
点群データを導入するメリットは、現地計測の効率化と取得した情報の二次利用を進められることです。レーザースキャナーなどを用いれば、レーザーが届く範囲を短時間で面的に計測でき、高所などを非接触で計測することで、現場条件によっては作業者の負担や安全面のリスクを軽減できます。
取得した点群は、対象物の形状や位置関係を3次元で確認でき、必要な寸法の計測や関係者間での情報共有にも活用できます。一度取得したデータを繰り返し参照できるため、測り直しを目的とした現地作業を減らせる場合もあります。
また、点群をもとに3Dモデルや平面図・立面図・断面図などを作成できるため、図面が残っていない既存設備や構造物の現況把握にも役立ちます。現地計測や図面作成に必要な人員・工数を抑えられれば、業務効率化やコスト削減も期待できます。
4.点群データの活用シーン
点群データは、建設・土木だけでなく、製造業やインフラ管理、災害対応、文化財の保存など、幅広い分野で活用されています。代表的な活用シーンは以下の通りです。
| 建設・土木 | 施工後の構造物や造成地を計測し、設計データとの差分確認や出来形管理、工事の進捗確認に活用します。既存建物の改修では、現況把握や設計検討の基礎資料にも利用されます。 |
|---|---|
| 製造・プラント | 工場内の設備や配管を点群化し、設備更新やレイアウト変更時の干渉確認、配管ルートの検討、保守に役立てます。 |
| インフラ・災害対応 | 道路や橋梁、トンネルを継続的に計測して変形の把握に利用するほか、被災地では崩落箇所や土砂の堆積状況を記録し、復旧計画に活用します。 |
| 文化・都市分野 | 城や寺社、史跡などを高精度に記録してデジタルアーカイブとして保存するほか、都市空間の3D化や景観検討にも利用されています。 |
まとめ
点群データは、建物や地形、設備などを膨大な数の点で記録し、現実の形状を立体的に把握できるデータです。取得方法には、地上型3DレーザースキャナーやMMS、ドローン搭載型レーザースキャナー、空中写真測量などがあり、計測する範囲や対象物、現場環境に応じて使い分けられます。
取得した点群データは、現況確認や寸法計測だけでなく、3Dモデルや図面の作成、出来形管理、設備更新、インフラの維持管理などにも活用できます。一度取得した情報を繰り返し利用できるため、現地での再計測を減らし、作業の効率化や安全性の向上にもつながります。
点群データの取得にレーザースキャナーを活用したい場合は、必要な期間だけ機器をレンタルする方法もあります。用途や現場に適した機器を選び、効率的な計測に役立ててください。

















