流量計の種類とは?それぞれの仕組みや特徴・用途を解説
流量計は、水・空気・ガス・蒸気などの流体がどれだけ流れているかを測定する機器です。工場設備や配管設備、上下水道、食品工場、化学プラントなど幅広い現場で使用されており、生産管理やエネルギー管理、品質管理に欠かせない存在です。
ただし、流量計には超音波流量計・電磁流量計・差圧式流量計など複数の種類があり、測定原理や得意とする流体が異なります。流体の性質や配管条件に合わない機種を選定すると、測定誤差や設備トラブルにつながる可能性もあるため、用途に応じた選び方が大切です。
当記事では、流量計の基本的な仕組みや代表的な種類ごとの特徴を分かりやすく解説します。さらに、超音波流量計の種類やメリット、使用時の注意点についても紹介するため、流量計の導入や選定を検討している方は参考にしてください。
1.流量計とは
流量計とは、水・空気・ガス・蒸気などの流体が「どれだけ流れているか」を測定する装置です。工場設備や製造装置、配管設備、上下水道、研究設備など幅広い分野で使用され、設備の運転管理や品質管理、安全対策に欠かせない機器として利用されています。
表示単位には「L/min(リットル毎分)」や「m³/h(立方メートル毎時)」などが使われます。流量を正確に計測することで、エネルギー使用量の最適化や設備異常の早期発見、生産品質の安定化につながります。そのため、測定対象の流体や配管条件に合った流量計の選定が必要です。
2.流量計の種類と仕組み|それぞれの特徴を比較
流量計には複数の種類があり、測定原理や対応できる流体、得意とする使用環境がそれぞれ異なります。たとえば、液体向けに強い流量計もあれば、気体や蒸気の測定に適した機種も存在します。また、高精度を重視する現場や、既設配管へ後付けしたいケースなど、用途によって最適な方式は変わります。
そのため、流量計を選定する際は「何を測るのか」「どのような環境で使用するのか」を整理した上で、各方式の特徴を比較することが大切です。代表的な流量計の種類と仕組みは下記の通りです。
代表的な流量計の種類と仕組み・特徴
| 種類 | 測定原理 | 主に測定できるもの | 向く用途・現場 |
|---|---|---|---|
| 超音波流量計 | 超音波の伝播時間差、またはドップラー効果から流量を算出する | 液体が中心で、方式によっては粒子や気泡を含む流体も測定できる | 既設配管への後付け、大口径配管、上下水道、空調、排水、化学設備 |
| 差圧式流量計 | オリフィスなどで生じる差圧から流量を求める | 空気、蒸気、水、油など幅広い流体に対応できる | 汎用設備、化学プラント、空調、高温高圧ライン |
| 電磁流量計 | 導電性液体が磁場中を流れる際に生じる起電力を測定する | 導電性のある液体 | 上下水道、排水、食品、化学、スラリーを含む液体ライン |
| 熱式流量計 | 加熱素子との温度差、または加熱に必要な電力から流量を求める | 気体、および液体の微少流量 | 半導体、サンプリング、混合、希釈、微少流量管理 |
| コリオリ流量計 | 振動管に生じるコリオリ力から質量流量を測定する | 液体が中心で、高粘度液やスラリーにも対応できる | 高精度な配合、原料計量、品質管理、密度の測定が必要な工程 |
| 渦流量計 | ブラフ体の後流に発生するカルマン渦の周波数を測定する | 気体、液体、蒸気 | 蒸気ライン、空調、化学、食品、エネルギー設備 |
| 容積流量計 | 一定体積ごとに機械的に区画して積算する | 液体が中心、機種によっては気体にも対応できる | 高精度な受け渡し計量、潤滑油、樹脂液、石油製品、少量バッチ |
| 羽根車流量計 | 羽根車の回転数から流量を求める | 比較的きれいな液体・気体 | 汎用設備、小型機器、コストを重視するライン |
特に工場設備や配管計測では、流体の性質や配管条件に合わない流量計を選ぶと、誤差やトラブルの原因になるため注意しましょう。
ここでは、それぞれの流量計の仕組みや特徴、向いている用途を順番に解説します。
2-1.超音波流量計
超音波流量計は、超音波の動きを利用して流量を測定する流量計です。代表的な方式には、超音波が流れに沿って進む時間差を測る「伝播時間差方式」と、気泡や粒子に反射した超音波の変化を利用する「ドップラー方式」があります。
大きな特徴は、配管の外側から測定できる「クランプオン型」がある点です。また、可動部が少ないため、比較的メンテナンスの負担を抑えやすい点もメリットです。
一方で、流体中に多くの気泡が含まれている場合や、直管部が不足している場合には、測定精度に影響が出ることがあります。上下水道や空調設備、化学設備など、幅広い現場で利用されています。
2-2.差圧式流量計
差圧式流量計は、配管内に設置したオリフィスなどで発生する圧力差を利用して流量を測定する流量計です。流体が狭い部分を通過すると圧力が変化するため、その差圧から流量を求めます。
構造がシンプルで可動部が少ないため、故障しにくく、古くから幅広い設備で使われてきました。液体だけでなく、気体や蒸気にも対応できるため、化学プラントや空調設備、高温高圧ラインなどでも多く採用されています。また、比較的導入コストを抑えやすい点も特徴です。
ただし、安定した測定には長い直管部が必要であり、導圧管の詰まりや圧力損失には注意が必要です。流量変動が大きい用途では、測定レンジも確認して選定する必要があります。
2-3.電磁流量計
電磁流量計は、導電性のある液体が磁場を通過するときに発生する電圧を利用して流量を測定する流量計です。ファラデーの電磁誘導の法則を応用しており、発生した電圧から流速を求めます。
配管内部に障害物や可動部がほとんどないため、圧力損失が少なく、摩耗しにくい点が特徴です。また、汚れやスラリーを含む液体にも比較的強く、長期間安定した測定を行いやすい流量計として知られています。そのため、上下水道、排水設備、食品工場、化学プラントなど幅広い分野で利用されています。
一方で、電気を通さない油や純水など、一部の液体には使用できません。流体の導電性を確認した上で選ぶことが大切です。
2-4.熱式流量計
熱式流量計は、センサーから流体に奪われる熱の量を利用して流量を測定する流量計です。流体が多く流れるほど熱が逃げやすくなるため、温度変化や必要な加熱量から流量を算出します。「サーマル式流量計」と呼ばれることもあります。
特に気体の測定を得意としており、空気や窒素などのクリーンガスの流量管理によく使用されています。微少流量の測定にも向いているため、半導体製造や研究設備、サンプリング装置など、高精度な管理が求められる現場で活用されています。また、可動部が少ないため、摩耗しにくくメンテナンス負担を抑えやすい点も特徴です。
ただし、流体の種類や温度変化によって測定値が影響を受けることがあるため、使用条件に合わせた設定を行いましょう。
2-5.コリオリ流量計
コリオリ流量計は、振動している配管内を流体が通ることで発生する「コリオリ力」を利用して流量を測定する流量計です。流体が流れると配管にわずかなねじれが生じ、その変化から流量を高精度に計測します。
最大の特徴は、液体や気体の「質量流量」を直接測定できる点です。温度や圧力の影響を受けにくく、高精度な測定が求められる現場で多く採用されています。高粘度液やスラリーにも対応しやすく、化学、食品、医薬品などの分野で広く使用されています。さらに、密度測定に対応した機種もあり、濃度管理や品質管理にも活用されています。
一方で、本体価格が比較的高めで、大口径配管ではコストが大きくなりやすい点には注意が必要です。
2-6.渦流量計
渦流量計は、配管内に設置した物体の後ろに発生する「カルマン渦」を利用して流量を測定する流量計です。流れが速くなるほど渦の発生回数も増えるため、その周波数から流量を算出します。
構造がシンプルで可動部が少ないため、耐久性やメンテナンス性に優れている点が特徴です。液体・気体・蒸気まで幅広く対応でき、特に蒸気配管の流量管理ではよく使用されています。空調設備や食品工場、化学プラントなどでも導入されています。
ただし、配管振動や騒音の影響を受けやすく、安定した測定には十分な直管部が必要です。また、低流速では渦が安定しにくいため、使用する流量範囲に合った選定を行いましょう。
2-7.容積流量計
容積流量計は、内部のギアやローターで一定量ずつ流体を区切り、その回数を数えることで流量を測定する流量計です。流れた体積を直接測定するため、高精度な体積流量管理に向いています。
特に粘度の高い液体の測定が得意で、潤滑油や樹脂液、石油製品などの計量によく使用されています。また、小流量でも安定した測定がしやすく、受け渡し計量や少量バッチ制御など、精度を重視する工程にも適しています。構造が比較的シンプルで、外部電源が不要な機種もあります。
ただし、内部に可動部があるため、異物による詰まりや摩耗には注意が必要です。長期間安定して使うためには、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。
2-8.羽根車流量計
羽根車流量計は、流体の流れによって回転する羽根車の回転数から流量を測定する流量計です。タービン式流量計が代表例として挙げられ、羽根の回転速度と流速の関係を利用して流量を求めます。
構造がシンプルで小型軽量なため、比較的導入しやすく、コストを抑えたい現場でも使われています。また、応答性が高く、水や油、気体など比較的きれいな流体の測定に向いています。小型設備や一般産業機械などで広く利用されています。
一方で、異物を含む流体では羽根の摩耗や詰まりが起こりやすく、定期的なメンテナンスが必要です。また、流体の粘度変化によって測定精度が変わることがある点にも注意しましょう。
3.超音波流量計の種類
超音波流量計には「ドップラー式」と「伝搬時間差方式」の2種類があり、流量測定をする仕組みに違いがあります。
以下では、各方式の流量測定をする仕組みと、優れている点・注意点を紹介します。
3-1.ドップラー式の仕組み
ドップラー式は、音に関する現象である「ドップラー効果」を利用し、超音波で流量測定をするタイプの超音波流量計です。
そもそもドップラー効果とは、音の発生源や観測者が移動すると、音の聞こえ方(周波数)が変わる現象です。ドップラー効果は音の発生源や観測者が移動する速度とも関係があり、周波数の変化を調べることで移動する速度を計測できます。
ドップラー式では、流体の中にある気泡や固形物に超音波を当て、反射した超音波を調べて得られる周波数の変化を計測しています。周波数の変化から流体の速度(流速)が分かり、パイプ内を流れる流量も計算可能です。
ドップラー式は気泡や固形物に超音波を当てる必要があるため、気泡などが存在しない流体の流量測定には使えません。汚水・排水などのように、不純物が多く存在する流体の流量測定に適しています。ただし、伝搬時間差方式と比べると計測結果の誤差が大きくなりやすいデメリットもあるため、注意が必要です。
3-2.伝搬時間差方式の仕組み
伝搬時間差方式は、パイプ内を横断するように超音波を発信して、受信側が受信するまでの時間差を計測するタイプの超音波流量計です。
パイプ内を横断するように超音波を流したとき、超音波が伝わる速度は流速に影響されます。例として、上流から下流に向けて超音波を流すと、流速の分だけ超音波が伝わる速度は速くなるでしょう。
伝搬時間差方式は、超音波が伝わる速度の時間差から流速を求めて、パイプ内を流れる流量を計算する仕組みです。
伝搬時間差方式は超音波をパイプ内で横断させる必要があるため、不純物が多く存在する流体は正確に測定できません。不純物がある程度除去されている流体や、超純水などの不純物が全くない液体の流量測定に適しています。
4.超音波流量計のメリット
超音波流量計の代表的なメリットを3つ紹介します。
・クランプオン型がある
超音波流量計は、超音波の送受信器をパイプ内に設置する「接液型」と、送受信器を配管外側に取り付ける「クランプオン型」の2種類があります。パイプ内への設置工事が必要な流量計が多い中、超音波流量計にはクランプオン型の製品がある点がメリットです。
クランプオン型は配管外側に装置を取り付けるだけで流量測定ができるため、配管工事の手間がいりません。パイプ内の流れを妨げるパーツがなく、流体の圧力損失が起こらない利点もあります。
・測定精度が高い
超音波流量計は、ドップラー式も伝搬時間差方式も超音波の特性を利用しており、流量を高い精度で計測できます。流体の温度・圧力・粘度などの影響も受けず、さまざまな流体の流量測定が可能です。
・計測結果の応答が早い
超音波流量計で使用する超音波は音速であるため、計測開始から結果が出るまでの応答が速いメリットがあります。流量の変化にも素早く対応でき、流体の圧力が周期的に変動する脈動流の測定や流量管理にも適しています。
他の種類の流量計と比べた場合、超音波流量計には「ポータブルで手軽に計測できる」「流量計を組み込んでいない配管設備にも利用できる」といったメリットもあります。
5.超音波流量計を使用する際の注意点
超音波流量計を使用する際は、下記の2点に注意してください。
・直管部が必要
超音波流量計はパイプの直管部に設置する必要があります。曲げパイプや絞りパイプの内部では流体の流れが変化し、測定結果に誤差が生じるケースがあるためです。
・気泡に弱い
超音波をパイプ内で横断させる伝搬時間差方式の超音波流量計は、気泡に弱い特徴があります。わずかな気泡でも正確に測定できない、もしくは動作停止する可能性があるため、気泡が発生するパイプでの使用には注意してください。伝搬時間差方式の超音波流量計を使用する際は、気泡が発生しやすい場所から十分に離して設置するか、パイプに気液分離機を設置することがおすすめです。
なお、ドップラー式の超音波流量計であれば、気泡が存在するパイプ内でも流量測定が行えます。
まとめ
流量計は、液体・気体・蒸気などの流量を測定し、設備管理や品質管理を支える計測機器です。超音波流量計や電磁流量計、差圧式流量計などさまざまな種類があり、それぞれ測定原理や適した用途が異なります。そのため、流体の性質や配管条件、必要な測定精度を整理した上で選定することが大切です。
特に超音波流量計は、クランプオン型による後付け設置や圧力損失の少なさなど、多くのメリットを持っています。一方で、気泡や直管部不足によって測定精度へ影響が出る場合もあるため、設置条件の確認が欠かせません。
流量計を適切に選定できれば、設備トラブルの予防やエネルギー効率の改善、生産品質の安定化にもつながります。用途や設置環境に合った流量計を比較し、現場に適した機種を選びましょう。

















