金属探知機の原理は?反応しない金属や精度を上げる方法も解説

金属の有無を調べたいとき、活躍するのが金属探知機です。現在では単純に金属がある場所を探り当てるだけでなく、異物混入対策として製品に金属が混入していないかを確認する際にも使用されています。

当記事では金属探知機の原理について、電磁誘導方式・磁気誘導式・X線方式の3つに分けて解説します。それぞれ仕組みや検出できる金属が異なるので、特徴をしっかりと把握した上で、目的に合った金属探知機を使用することが大切です。

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1. 金属探知機とは?

金属探知機は、金属を探知するための機械です。金属検出機とも呼び、19世紀ごろに金属鉱山の採掘効率を向上させる目的で開発されました。

現代では鉱山に限らず、空港・製造業・リサイクル業など幅広い場所で金属探知機が活用されています。たとえば不発弾処理や地雷処理など、地中の危険物を探り当てる作業では金属探知機が欠かせません。埋蔵金探索など、個人が趣味で金属探知機を使用することもあります。

製造業においては、品質管理・安全管理の目的で異物混入防止に役立つ金属探知機を導入しています。

たとえば食品製造業では、製造する食品の中に機械の部品や金属片が混入すれば、健康トラブルが発生するおそれがあります。衣料品製造業の場合、尖った金属片が製品に含まれた状態で流通すれば、ユーザーに怪我を負わせかねません。原料を製造する工場でも、部品や金属が混入した製品を販売すれば、顧客の機械を故障させる可能性が考えられます。

顧客の安全を守るために、金属探知機による品質管理・安全管理が有効です。

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2. 金属探知機の原理

金属探知機は、電磁誘導方式・磁気誘導式・X線方式など複数種類あり、それぞれ仕組みが異なります。一般的に使用されている金属探知機は電磁誘導方式です。

ここでは代表的な電磁誘導方式を始め、磁気誘導式・X線方式について、それぞれの金属を探知する原理を解説します。

2-1. 電磁誘導方式

コイルに電気を流し、電界の歪みによって金属を検知する方式です。1本の発信コイル・2本の受信コイルの間を被検査品が通過したときの電圧バランスの変化によって、金属の有無や磁性・非磁性の違いを判別します。

たとえば磁性金属が発信コイル・受信コイルの間を通過したとき、発信コイルから運ばれる電磁束の数に差が生じます。被検査品に金属が含まれていれば、2本ある受信コイルのうち一方が電磁束を多く引き付けるためです。

反対に、被検査品に金属が含まれていない場合、2本の受信コイルはそれぞれ同程度の電磁束を引き付けます。

2本の受信コイルには電圧計がつながっており、電磁束の数すなわち電圧のバランスが崩れていなければ金属を探知していません。片方に電磁束が多く引き付けられ、電圧のバランスが偏っていれば、被検査品に金属が含まれていることが分かります。

ステンレスなど非磁性の金属が含まれているときは、片方の受信コイルに運ばれる電磁束は弱くなります。発信コイルから生じた磁束が非磁性金属の表面で渦電流を作り、一部が送信コイル側へ戻るためです。

電磁誘導方式の金属探知機では、2本の受信コイルの電圧バランスの違いを確認することで磁性・非磁性どちらの金属も探知できます。

2-2. 磁気誘導式

磁気誘導式の金属探知機は、永久磁石から発される静磁界を利用します。永久磁石の磁界の中に金属片が混入した場合、微小な起電力が生じる仕組みを利用して金属の有無を検知します。

磁器誘導式の特徴は、まず被検査品に混入している金属を磁化させる必要があることです。金属探知機は最初に電磁石で磁器誘導して、被検査品に含まれている金属片を磁化させた後、ピックアップコイルで磁力を検出します。磁化させた金属の磁気をもとに検出するため、そもそも非磁性金属には反応しません。

一方で検査方法が簡単かつ磁化できる金属であれば幅広く反応するメリットもあり、針や鋲など微細なものからナットや刃物など大きなものまで検知可能です。具体的な金属の種類をあげると、鉄やニッケルがあてはまります。

2-3. X線方式

被検査品にX線を照射して、異物検出する方法です。金属のみならず多くの混入物を一度に検出できるメリットがあり、個数検査や形状検査、嚙み込み検査なども同時に行えます。

発生装置から被検査品にX線を照射して、センサーで検知した内容を透過画像として生成後、自動解析します。発生装置は消耗品にあたり、発生源やセンサー部分は1~2万時間を目安に交換が必要です。

X線方式の特徴は、電磁誘導方式や磁気誘導式では困難な素材も内部を透過して検査できることです。包材にアルミホイルを使用した製品なども、外装に阻害されずに内容物の金属の有無を検査できます。ただし、金属片が薄すぎるとX線を透過してしまい、検出できないケースもあるため注意が必要です。

3. 金属探知機に反応しない金属はある?

検査で使用する金属探知機の種類によっては、反応しない金属があります。一般的に使用されている電磁誘導方式の金属探知機の場合、一部の被検査品は反応しにくい傾向があるものの、まったく検知できないという金属はありません。ただし、たとえば塩分量や水分量に検出しやすさが左右されたり、アルミ包装された製品の内部は検査しにくかったりする点には注意しましょう。

磁気誘導方式の金属探知機を使用する場合、特定の金属には反応しません。前述の通り、磁気誘導方式はあらかじめ被検査品に含まれる金属を磁化させて検出します。加工しやすく幅広い製品に使用されているアルミやステンレスは非磁性金属に分類されるため、磁気誘導方式での検査は困難です。

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4. 金属探知の精度を上げるには?

金属探知機は、採用している検査方式の原理や特徴を理解した上で、正しく選定・使用することが大切です。

また、金属探知の精度を上げるためのコツとして、下記の4つがあげられます。

・被検査品の温度

金属探知機の精度は、被検査品の温度によっても左右されます。被検査品の温度が高いほど影響が出やすく、金属探知の感度が低下する傾向です。反対に被検査品の温度が低いと、渦電流の発生による影響が最小限に抑えられ、感度の高い検査ができます。

また、検出時の温度変化も精度に影響を与えます。冷凍食品など極端に低温の製品を検査するときは、工程内での温度変化を抑えつつ検査機器にかける必要があります。

・被検査品の水分量

被検査品に含まれる水分量も、検査感度に影響する要因の1つです。水分量が多いと検査感度が低くなるため、あらかじめ金属探知機の設定を変更しておきましょう。水分量に関する製品影響を大きめに設定した上で検査すると、検出精度を上げられます。

水分量と同じく検査精度に影響しやすい塩分量も、同じ要領で対策できます。

・被検査品の流れる向き

金属探知機に流すときの、被検査品の向きも検査精度に影響します。長方形の被検査品を金属探知機にかけるとき、横向き・縦向き・斜め、どの方向で流すかで金属探知機が触れる範囲や感度に差が生じます。

金属探知機の感度がもっとも高くなる流れ方は、斜めの向きです。反対に、もっとも感度が低くなる流れ方は横向きです。

・被検査品の通過位置

被検査品が金属探知機の下を通過するときの位置も、感度に大きく影響します。もっとも検出感度が低くなる位置は、検出部の中央です。金属探知機を調整するときは、中央もテストピースに感知できる検出感度に設定しましょう。

上記に加えて、金属探知機と被検査品のサイズも重要なポイントです。被検査品が小さすぎると感度が低下するため、適切な大きさの金属探知機を使用することが大切です。

まとめ

金属探知機は金属検出器とも呼ばれる、金属の有無を検知する機械を指します。空港やリサイクル業、製造業など幅広い現場で活用されており、特に製造業では異物の混入を防止するために使われます。

金属探知機は、仕組みによって検出できる金属の種類が異なるので、目的や環境に合わせて導入する金属探知機を選びましょう。金属探知機はレンタルも可能なので、コストを抑えて金属探知機を利用したい方はぜひレンタルをご検討ください。

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