
第21回目は、「建築工事」についてです。
今回は、工種別で『建築工事』について説明していきます。現場おやじは『土木工事』ばかりやってきたので、『建築工事』は未経験ですが、わかる範囲で説明していきます。
建築工事?
建設工事は大きく分けて 『土木工事』 と 『建築工事』 からなります。
土木工事
道路、鉄道、河川、橋梁、港湾などを、土石・木材・鉄材などを使ってする建設工事です。
建築工事
主に建物、人が活動するための空間を建設するこ事であり、一般住宅やマンション、アパートなどの集合住宅、オフィスビル、店舗、学校などの建設をする工事です。
一般的に『土木工事』は公共工事(国、県、市など発注で、税金を使ってする工事)が多く、『建築工事』は公共工事よりも民間工事(企業や個人からの発注で、企業や個人のお金を使ってする工事)が多いです。
・公共機関からの『建築工事』では、学校、病院、住宅など
・民間からの『建築工事』では事務所ビル、店舗、宿泊施設、娯楽施設などがあります。
建築工事の流れ
建築工事の流れは、以下のようになります。
①基礎工事
基礎工事は建物を支えるための土台となるもので、工事としては『土木工事』に分類されます。
基礎の種類についてはニュースレター第7回で紹介していますが、
・直接基礎
締め固められた地盤の上に直接建物を造るもので、一戸建ての家などは直接基礎になります。
・杭基礎
支持層(硬い地層)に到達させた杭により建物の荷重を支えるもので、ビルなど大きな建物の基礎に使われます。
2015年11月に発覚した『マンション工事におけるデータ偽装問題』では、基礎杭が支持層まで到達してなく、杭の長さが偽装されていたために大きな問題になりました。
基礎工事は目に見えない部分ですが、建物を支えるとても重要な部分です。
②躯体(くたい)工事
躯体工事は、建築工事の中の“柱・床・壁・天井”などを造る工事です。躯体を造るために、足場(型枠を組み立てたり、コンクリートを打設する時の為の作業用スペース)を組み立てて、次に型枠や鉄筋を組み立てて、コンクリートを打設していきます。このサイクルを繰り返し行なっていきます。コンクリート打設はポンプ車を使って高い場所まで打設していきます。
③設備工事
設備工事は、建物内のいろいろな設備を設置する工事で、躯体が出来、壁や天井の板を張る前のタイミングで行います。
【電気設備】
線を壁や天井の中への配線、電灯などの設置
【空調設備】
建物内の空調を管理するための換気口や配管、クーラーなどの設置
【ガス設備】
ガスを使用するための配管
【OA設備】
OA機器が使用できるようにLANケーブルを配線したり、無線機を設置して通信環境を作っていく
【警報設備】
火災警報器や消火設備などの設置
④内装工事
内装工事は、壁や天井や床を作っていく工事です。
壁の板を張ったり、天井を作ったり、床のフローリングする工事です。板を張った後に壁紙を張ったり、ペンキを塗ったりする仕上げの工程になります。
このように建築工事は(型枠を組み立てる人、コンクリートを打設する人、大工、電気屋、空調屋、内装屋などたくさんの専門職)工種がたくさんあるので、その工程管理(いつのタイミングで作業してもらうか)の調整が大変難しいです。いろんな工種、材料もあるので、材料の選定や費用(材料費、経費)の計算なども大変です。
土木工事に比べて建築工事の特長は下記になります。
○工程が厳しい。
工場の稼働開始日、店舗の開店日、マンションの入居開始日などが決まっているので、その日に向けて一日でも早く完成するというプレッシャーが凄い。店舗の開店日に間に合わないとか、工場稼働が一日遅れるだけで、多額の補償金が請求されます。
○工種が多いので管理が大変。
(作業員、工程、お金)など管理する項目が多いです。作業員の数も土木工事よりも数段に多いです。大きなビルや病院などの現場では1日当たりでも何百人の作業員が作業しています。建築現場の朝礼に参加したことがありますが、作業員の数が多く、ラジオ体操だけでも大規模でビックリしました。
○土木工事は不確定要素
(例えばトンネル掘削する時の地質状況が設計からの変更があったり、台風などの天候不良で工程が遅れたり)が多いですが、建築工事はそういった不確定要素が少なく、また天候(雨、風)などで工事が中断することも少ない。ただ、建築工事は発注者や建築士からの要望や変更などの打ち合わせや工事に関する注文が多いです。
タワークレーン
よくビルの建築現場で見かけるのがタワークレーンです。重い荷(鉄骨、木材、壁パネルなど)を吊り上げたり、移動させたりするもので、高層ビルや大型建造物の建設には欠かせないのがタワークレーンです。
建築前の何も出来ていない状態からタワークレーンは設置され、建物が立ち上っていくに従ってマストと呼ばれる支柱を上に伸ばしていきます。そのマストを使ってクレーンをシャクトリ虫のように上げていきます。伸ばしていくマストも自分のクレーンで吊って、取り付けて、伸ばしていきます。タワークレーンは作業が終了すれば解体します。
そのやり方は、『親亀・子亀・孫亀方式』になっていて、手順は以下の通りです。
①屋上にあるタワークレーン(親)が自分より一回り小さい中型クレーンを近くに組み立てます。
②中型クレーンでタワークレーン(親)を解体して、部材を下に降ろします。
③中型クレーン(子)がさらに一回り小さい小型クレーン(孫)を組み立てます。
④小型クレーン(孫)で中型クレーン(子)を解体して、部材を下の降ろします。
⑤小型クレーン(孫)を人が運べるサイズに分解して、エレベーターを使って人の手で運び降ろします。
建築工事に使う計測機器?
建築工事では、クレーン作業の中止基準になる風速を計測するための【気象・水文観測機器 警報付デジタル風速計OT-902】、またコンクリートを打設しますので【土質試験機 スランプ試験器】やコンクリート養生の温度を測るために【気象・水文観測機器 コンクリート養生記録温度計】【ハンディーロガー MR2041】などが使用されます。
またクレーン作業時の安全管理に【安全マン】や解体工事には【音響・振動計測器 騒音振動表示装置】などが使われます。