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ニュースレター 現場おやじの一言

Vol.06 トンネル工事(2016.9.1 発行)
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第6回目は、「トンネル工事」についてです。

ついにやってきました現場おやじの最も得意とする『トンネル』についてです。『トンネルはどうやって掘るの?』『トンネルの構造は?』『トンネルができるまで?』『トンネルで使う計測器?』などについて語ります。

ハイライト

トンネルって?

みなさんも一度は公園の砂山、海水浴の砂山などで穴(トンネル)を掘ったことはあると思います。たぶん、みなさんもしっかり穴が掘れるように砂山をしっかりたたいて固めたのでは?しかも崩れないようになるべく小さな穴を掘ったのでは?
工事でのトンネルを掘るのでも、一緒です。硬い山は掘りやすく、断面の小さいトンネルは崩れにくくなります。

  • トンネル

トンネルを掘る前に掘削しようとする山の事前調査はするのですが、やはり掘ってみなければわからない所があって、何が起こるか予想ができないのがトンネル掘削です。他の土木工事とは違って、不確定要素が多いので、工事がどのくらいで終わるかを予測するのも困難で、崩落などの危険度も高いため工事にかける工事保険料も他工種に比べると多いです。日本は山が多い国なので、道路、鉄道を造るうえで“トンネル”は欠かせないものになっています。

では、『トンネルはどうやって掘っていくのか?』についてですが、工法的には現在のほとんどのトンネルが『NATM工法』という工法で掘られています。30年前にオーストリアで開発された工法で、“掘った壁面にコンクリートを吹きつけて壁面を固め、さらにロックボルト(鉄の棒)を打設してグラウンドアーチを築き、それを連続した筒状の構造物=トンネルとして土中構造の一部と出来るなら、トンネルは潰れない”という考えです。(従来は図の青い部分だけで山が崩れるのを押えていたのを、ロックボルトと呼ばれる鉄の棒を放射状に山に打設することによって図の茶色の部分で山が崩れるのを押えるという工法です。

  • NATM工法

トンネルの構造は?

トンネルの構造は下図のようになっています。

  • トンネルの構造

鋼製支保工・・・H鋼(H型の鉄の棒、□200mm~300mm)をアーチ状に曲げたもの。
吹付コンクリート・・・コンクリートを強烈な圧力で山に吹きつけて固まったもの。
ロックボルト・・・山に放射状に打ち込む鉄の棒(直径25mmぐらい)。
二次覆工・・・吹付コンクリートの内側に型枠を組んで、コンクリートを打設したもの。普段通行するトンネルで見えるのはこの二次覆工の内面です。
インバート・・・トンネルの底をコンクリート打設して繋げることによって変位を閉塞する効果があります。
中央排水・・・トンネルで発生した湧水(山から染み出る水)を集めてトンネルの外に排水するパイプです。

トンネルってどうやって作るの?

トンネルを掘る前に事前にボーリング調査(トンネルを掘ろうとするところに小さい穴を掘って地質(土、岩の種類、性質)を調査します。)などによって、良質な地質か崩れやすい地質かを分類し、それをもとにトンネルの支保パターンを設定します。

  • トンネルを掘る

支保パターンとは、地質の良し悪しによって
 ・掘削長・・・1回に掘る延長(だいたい1m~2mぐらい)、山が崩れやすければ掘削長を短くします。
 ・ロックボルトの長さ、間隔・・・山が崩れやすければロックボルトの長さを長く、間隔も密にします。
 ・支保工の大きさ、間隔・・・山が崩れやすければ支保工を大きく、間隔を密にします。
 ・吹付コンクリート・・・山が崩れやすければ吹付コンクリートの厚さを厚くします。
などを決めたもので、すべての地質にパターン(Aパターン、Bパターン・・・・)が決められ、そのパターンでトンネルを掘っていきます。当然、掘っているうちに違った地質が出てくる場合が発生するため、その都度パターンを変更していきます。
だいたい、山はトンネル入口部分は軟らかい土(土砂)で、中に進んでいく程硬くなり、中心部は岩のように硬く、また出口に進むにつれて軟らかくなるパターンがほとんどです。

トンネルができるまで?

①工事着手

トンネルを掘る所はだいたいが山の中にあり、道路も狭い農道しか無いため、まずトンネル工事で使用する大きい重機(掘削する機械、コンクリートを吹付する機械など)が通れる幅の広い道路(工事用道路)を作ります。それが完成した後がトンネルの工事着手になります。

②仮設備設置

トンネルの仮設備とは、

バッチャープラント・・・コンクリートを作るプラント工場です。他の土木工事をする時は、町にある生コンクリートプラント工場で作ったコンクリートを使用しますが、トンネルでは①山の中で、生コンプラント工場が近くにない。
②トンネルは施工時間が不規則で、コンクリートが必要な時間を指定して注文できない。③トンネルは昼夜(昼勤、夜勤)で施工するため、夜に生コン工場から出荷できない。という理由から現場にプラント工場を作ります。
濁水処理設備・・・トンネル施工する時には、大量の水を使います。近くの川から給水→トンネル施工に使用→川に戻します(排水)。当然、トンネルで使用すると、土やコンクリートを扱うので、水が汚くなります。そのまま排水すると、汚い水が田んぼや家庭にいってしまうため、きれいな水にして排水しなければならず、排水していい規定値(pH、濁度など)があります。その基準値以下(きれいな水)になるように、工事で発生した水をきれいにする設備が濁水処理設備です。この時に水質測定器【pH計】【濁度計】が必要になってきますが、だいたいが濁水処理設備に内臓されていることが多いです。
詰所・・・作業員が休憩したり、職員が打合せをする場所。だいたいプレハブ2階建て。
鍛冶小屋・・トンネルで使用する機械部品を修理したり、現場で使用する鉄製の架台とかを溶接したり、造ったりする場所。

仮設備を設置するまでには約2か月かかります。工事用道路が完成して、約2か月後にトンネルの掘削が始まります。

③坑口付

トンネルの入口を作る事です。トンネルの入口は軟らかい土が多く、崩れやすくなっているので特に注意が必要です。また地すべりなどが発生しやすい所が多い為、トンネルを掘る前にその上部に長い鋼管パイプ(丸い鉄のパイプ)を挿入して崩れてこないように補強する場合もあります。
地すべりが発生しそうな所へ、【気象・水文観測機器】【記録地すべり計】を設置したりします。
余談ですが、山を見たときに“竹林”が多い所は地すべりが起きやすいです。(竹林の土壌は水分を多く含んでおり、根っこがネット上に浅く張っているので滑りやすい という理由)。家の上に竹林があったりする場所は地すべり要注意です。

④安全祈願祭

工事が無事安全に終わるように祈願する式典です。トンネルでは必ずやります。というのは、山には神様がいます。ニュースレター第4回で紹介したように神様は女性の神様で、昔からトンネルは“女人禁制”と言われてきました。その他にも、トンネルにはいくつかの禁止行動が有ります。『トンネル内での口笛(神様は歌舞音曲を好み、口笛で踊りだす=山が揺れる)』『汁かけご飯(山が崩れる)』『首の落ちる花(椿、ゆり等)(山が落ちる)』 『出産後数日はその主人は坑内に入れない(出産を山が割れると例えられる)』『犬を坑内に入れない』『トンネル内で拍手を打たない』などがあります。

⑤トンネル施工

(トンネル施工については、次回で詳しく説明します。)

⑥貫通式

ニュースレター第2回で紹介したように、発注者、施工業者、協力業者、地元の方をたくさん呼び、貫通をお祝いする式典(お祭り)です。最後は、神輿に載せている酒樽の中の“酒のかけあい”です。

貫通式の時に参列者の方に配られるのが、『酒舛』と『貫通石』(置物やストラップに加工したりします)です。この“貫通石”は安産、学業成就にご利益があるとされています。安産は古事記に“出産時に貫通石を枕元に置くと安産で生まれたと”記されており、学業成就はトンネルが意志(石)を貫くといったゴロ合わせです。

次回も『トンネル工事』についての続編です。どうしても熱くなって、伝えることが多くなってしまいます。ご了承ください。おやじの楽しみですから・・・すみません。

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