
第3回目は、「コンクリート」についてです。
建設現場でよく使われている『コンクリート』に関する疑問。『コンクリートの配合?軟らかさ?温度管理?』などについて書いていきます。
コンクリートって?
コンクリートは、図のように『セメント+水+細骨材(砂)+粗骨材(砂利)』を練り混ぜたものです。
混ぜた直後は粘りのある液体ですが、セメントは水との化学反応により硬化していくため、時間の経過とともに固まっていきます。セメントと水の反応を「水和反応」と呼ばれます。
コンクリート中に占める体積が最も多いのが粗骨材で次いで細骨材、水、セメントです。
モルタルは『セメント+水+細骨材(砂)』
セメントペーストは『セメント+水』
骨材は、5mmのふるい目を通る粒の大きさのものを「細骨材」、それより大きいものを「粗骨材」といいます。
コンクリートの構成
コンクリートの配合
コンクリートの強度、軟らかさ(施工のし易さ)を考えて、セメント、水、粗骨材、細骨材の量を事前に決めます。その割合を「コンクリートの配合」と言います。現場で実際にコンクリート打設する前に「試験練り」を生コン工場(コンクリートを作る工場)で実施して配合を決めます。
「試験練り」で決定した配合が現場で同じ配合になっているかどうか確認する計測機器が、水の量→【W-チェッカー】、空気の量→【生コンクリート空気量測定器】です。
※コンクリート練り混ぜの時に空気が発生します。ある程度の空気(微細な)は作業性の改善(現場の仕事のしやすさ)や耐久性の向上(いつまでも壊れないコンクリート)に必要になります。
コンクリートの軟らかさ
打設しようとするコンクリートは作業(コンクリートを締固めたり、均したり)がやりやすいようにある程度の「軟らかさ」が必要になります。
コンクリートが硬過ぎれば、型枠の隅々に行き渡らせるのに手間がかかったり、型枠面や鉄筋の混んでいる部分に空洞が残って(型枠をはずした時に、コンクリートの表面に和菓子の「豆板」のような形の部分ができる場合があり、これを「豆板」「ジャンカ」と呼んでいる)しまい、弱点をつくってしまいます。
反面、軟らか過ぎれば粗骨材が沈んでしまったり、余った水が表面に浮いてきたりして、やはり不均一になります。
「軟らかさ」を決めるのは、水の量に大きく影響され、水の量が多くなれば当然軟らかくなりますが、強度が小さくなる傾向にあります。(料理をする時の、小麦粉と水を練るみたいな感じです。)
豆板(あばた)・ジャンカ
コンクリートの軟らかさ(施工のし易さ)を測定する測定器は【スランプ試験器】です。スランプコーンを抜いた後の下がり(スランプ値)を測定します。
(下がりが大きい → スランプ値が大きい → 軟らかい)
スランプ試験の方法
モルタルの軟らかさ(施工のし易さ)を測定する測定器は【モルタルフロー試験器】です。
フローコーンにモルタルを詰めて、コーンを抜いた後にハンドルを回転させ、落下運動(カタカタとテーブルが上下運動)をテーブルの上のモルタルに与えます。モルタルが最も広がった部分の長さと、直角な部分のひろがりを測定します。
(ひろがりが大きい → フロー値が大きい → 軟らかい)
モルタルの軟らかさ(施工のし易さ)を測定する測定器にはモルタルフロー試験器の他に【やわらか管理クン】もあります。モールド容器にモルタルを入れ、測定用の羽を挿入します。モールドの台座が回り、回転した時の羽の抵抗値(せん断応力)を測定します。
(せん断応力が小さい → 軟らかい)
セメントペーストの軟らかさ(施工のし易さ)を測定する測定器は【P.Cグラウトフローコーン】です。
指で流出口を押さえ、セメントペーストを漏斗上面まで注ぎ上面をならす。指を離してグラウトを流出させ、流れ始めてから途切れるまでの流下時間をストップウォッチで測定します。
(流下時間が短い → 軟らかい)
コンクリートは、配合によって軟らかさ(施工のし易さ)や強度が変わっていく “難しい生き物” です。
コンクリートは熱くなります。
コンクリートはセメントと水の水和反応により固まります。その時にやけどするくらいの熱(100℃以上になることもある)を発します。その時にコンクリートの温度管理に使用するのが【コンクリート養生記録温度計】です。
打設前の鉄筋や型枠にセンサー(熱電対)を取り付けて、打設中~固まるまでの温度を計測します。当然、固まった後のセンサーは切断(消耗品)します。
なぜ、温度管理するのか?
コンクリートの中が熱くなればなるほど、外気温との差が大きくなり、コンクリートが固まる時にクラックが発生します。(乾燥収縮クラック)
クラックが発生するとなぜ悪い?
クラックが発生したところから水がコンクリートに浸みこみます。
↓
浸みこんだ水が鉄筋に付いて錆びていき、そこから時間が経過するとコンクリートが崩落します。
コンクリートが熱くならないために
コンクリートが熱くならないために、発する熱が少ないセメント(中庸熱セメント)を使ったり、コンクリート打設終了後に散水したり、養生シートを敷いたりして、発熱を抑えます。
セメントの種類には他にも、すぐ強度の出るセメント(早強セメント)や、めっちゃすぐ強度の出る(超早強セメント)などがありますが、発熱量は多いです。